常連らしく”只今入場してきた男性は、あんころ餅という芸名の芸人の卵
でーす、ふたりの女性は「あんころ餅」のファンでーす!”とコールしますと
ゴリラのような体躯のその男が手をあげながら”イエー!”と奇声を発しまし
た。ヤンヤの拍手喝さいとなり会場が一気に盛り上がってきました。いやあ
ひさしぶりに不思議な空間に迷い込んで夢をみているようでした。面白いの
は、それぞれのテーブルに出演者らしき厚化粧をした女性?が座って客を
相手に雑談と相成ります。よくみたら、前列の席だけに踊り子が座って、お
しゃべりの輪に加わっていました。出演者の数に限りがありますから後方
まで手が回らないようでした。我々のところには人手不足なのか純正の女
性が来ていました。源氏名を「ソラ」とかいっていました。あたしゃ”あんた女
じゃろうが”といいましたら”はいそうです”とあっさり応えます。まあ、それ以
上いうのはヤボな話ですし、”きれいかね”といいましたら”おじさんもきれい
かよ、まつげが長か”といいます。カミサンと悪友は笑い転げていました。
はじめてそんな具体的な褒め言葉に言葉が出てきませんでした。ひと呼吸
置いて”あんた占いは信じるとね”とトンチンカンなことを聞きましたら”ウチ
は信じん、自分でみんな決めると”ときっぱりいいました。そりゃそうだろう
と思いました。だって男の子に混じって飛んだり跳ねたりする商売ですから
周囲のことなんか知ったことかという、ちょっと大袈裟ですが覚悟みたいな
ものを感じてしまいました。ドリンク1杯はサービスということで酒が飲めな
い私たちはソフトドリンクを頼みました。有料でポップコーンをつまむひと、
焼酎なんかを持ち込むひとなどなど通い慣れた客らしく勝手に好きなもの
を飲んだり食べたりしています。もっとも劇場と名のつく小屋ですからクラブ
のようなカクテルとかワインなんかの上品なものは置いてありません。場内
では缶ビールが主力商品のようでした。もうはじまるのかと思って腕時計を
のぞきましたら8時半を回っていました。”おじさん、なんで時計ばみよっと
ね”とドスのきいた声がしました。びっくりして声のほうをみましたら厚化粧を
した、のど仏のある女性が横に座っていました。純正女性は隣りのテーブ
ルで嬌声をあげて盛り上げていました。隣りはサラリーマン風のおっさんと
若い女性の2組が座っていました。”あたしOO、よろしく”と自己紹介をしま
すが、割れんばかりの大音響と騒音で聞こえません。”ヨオ、いつ始まっとね
”と聞きましたら”あら9時よ”と当たり前のような顔をしていうじゃありません
か。随分待たされたことになりますが社会見学の時間と思えば、もっとあと
になっても構わないというぐらい刺激的な光景が続きました。そんなやりとり
の最中に10数名の団体がはいってきました。”はい滋賀県からのお客さま
です!”とコールしましたら猛烈な拍手が起こりました。本当かどうか知りま
せんが農協の団体さんといって笑わせていました。さりげなく場内を見渡し
ましたら見事に満杯になっていました。
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