今年の文化功労者にえらばれた大滝秀治(86)が”知らせを聞いて最初は
舞い上がったが、考えると文化に功労した覚えはなく間違いでなければいい
が”と大まじめに語りながらとぼけたユーモアを醸し出していました。中学(現
高校)を卒業後、電話局に就職。帝国劇場で研究生募集のチラシを見たの
がきっかけとなり、昭和23年に東京民衆芸術劇場附属俳優養成所に1期生
で入所して民藝創設に参加。”おまえの声は壊れたハーモニカのように不快
感を与える、だから演劇には向かない”と言われたことがあるという。これ
は劇団民藝の創設者である宇野重吉に言われたもので暗に舞台演出家
への転向を促されたものであった。大物の滝沢修には”やめる決心をする
のも俳優の才能”と言われショックを受けたそうな。”でもほかにつぶしが利
かないから居続けたと謙遜するが、あたしゃ”今にみていろ俺だって”のココ
ロで反発、努力したんだと思います。池のまえに立って”これは海だと僕が
いえば池は海になる”と後輩に俳優論をぶち、滝沢にたしなめられたことも
あるそうで、相当な個性派だったようですな。同期には奈良岡朋子がいるそ
うですが、NHK大河ドラマ江・姫たちの戦国にも出演中ですな。大滝さんは
飄々とした中にも情熱を感じさせる独特の演技で我々を魅了しています。
映画といえば、今、話題の健さんの復活映画にも出演中ですね。健さんと、
どんなからみをみせてくれるのか今からワクワクしています。アッ、あの「寅
さんシリーズ」にも古本屋の親父のちょい役で顔を出していましたね。寅次
郎に説教された老人は、”お詫びだ”といわれて紙に筆で落書きしたものを
渡された。 老人に”持ってけば、いくらかになるから・・”と指定された古本
屋に出かけ、半信半疑でその紙切れを店の主人(大滝秀治)に見てもらっ
たところ”7万円で譲って欲しい”と言われ、腰を抜かす。実はこの老人こそ
日本画壇を代表する池ノ内青観画伯(宇野重吉)だったのだ(「寅次郎・夕
焼け小焼け」より)。因縁の対決?宇野との顔あわせのシーンはありません
でしたが、ダメを出したひととの共演は興味深いですね。そういえば映画界
の天皇といわれたクロサワ映画にも出演していました。確か「影武者(80年
東宝)」の 山県昌景役で”殿はオンナに乗るのは、お得意のようだが、馬に
乗るのは苦手のようじゃ”といって諸将と大笑いをするシーンを何度もやり
直しを食らっていました。まるで火の玉がぶつかりあうような強烈な場面で
した。ぶっつかり過ぎて主役だった勝新太郎がキレて仲代達矢にチェンジ
したいわくつきの映画でもありました。タレントの関根勤の物真似がまるで
親子のようにそっくりでウケていますが、氏は”僕には過去も未来もない。
あと1本やれるか。その今にしか価値はない”といい舞台に立ち、映画で
熱演する大滝さんに私は「日本の熱血おじいちゃん」をイメージしています
いつまでもお元気で。
目の前に立たれるとセリフがとまっちゃう 高倉健さん主演映画に
参加し27年ぶりの共演の感想を語る ビートたけし ぐっさんハイ