葬儀屋の勉強会では「家族葬」を嫌います。それは、儲からないからです。
でも確実に、家族や親しんだひとだけとお別れをして旅立つひとがふえて
います。数年まえまでは葬儀屋は”そのときに備えて、同窓会、老人クラブ
などの名簿を整理していきましょう”と声高に叫んでいましたが義理や形の
葬儀は姿を消しています。まえにも話したことがありますが、ウチの長屋に
は1000人近くの住人がいます。そのせいか、葬儀屋が目の前のビルに、
2軒もあります。新しくできた店は「激安葬儀店(99000円から)」という看
板を掲げて、集客を狙っていますが客は今イチのようです。そりゃ、そうで
しょう、安いのはありがたいにしても、あからさまに99000円と謳われたん
じゃ、仏さまが浮かばれないような気になりますものね。業者には冷やかし
てやろうかと思いましたがやめました。さて余談はそのくらいにして「55歳
から一番楽しい人生の見つけ方」という本をななめ読みしていましたら興味
深い一節に出会いました。「『作家の永井荷風は『断腸 亭日乗』に遺言を
残している。1.余死する時、葬式無用なり。死体は普通の自動車に載せ
直ちに火葬場に送り、骨は拾うに及ばず。墓石建立亦無用なり。新聞紙に
死亡広告など出す事元より無用。1.葬式不執行の理由は神輿の如き霊
柩自動車を好まず、又紙製の造花、殊に鳩などつけたる花輪を嫌うため
なり』しかし実際には葬儀は行われ、お墓もつくられた。荷風はその遺志を
かなえてもらえなかったが、近頃では自分の逝きたいように逝くひとがふえ
ている。いまだに「故人の値打ちは弔問客の数でわかる」などと思っている
ひともいるようだが最近はそうした派手で大掛かりな葬儀を嫌い、静かに世
を去る著名人が多くなった。先鞭をつけたのは92年に亡くなった『サザエさ
ん』で有名な漫画家の長谷川町子さんだったといわれている。長谷川さんは
遺言にこう書いた。”入院、手術はしない、葬儀、告別式はせず密葬。納骨
が終わるまで公表しない”。このため納骨が終わるまで死亡は公表されな
かった。この流れを決定付けたのは「寅さん」でお馴染みの渥美清さんだっ
た。渥美さんは96年8月に亡くなったが”死に顔を他人に見せたくない。骨
にしてから世間に知らせてほしい”との遺言により家族だけで密葬が行わ
れた。以降、沢村貞子さんらの巨星も密葬という形で静かに逝った。(中略)
エッセイストの佐野洋子さんは”ネパールは鳥葬や風葬で墓がない。墓が
ないというか、墓という言葉がないそうだ”と(本に)書いている。なぜ風葬の
話をしたかというと知り合いに”自分は風葬で逝きたい”と遺書に書いている
ライターがいるからだ。彼の実家は埼玉の田舎でちょっとした山持ちだ。”死
んだらその山林に死骸を置いて静かに逝かせてほしい”というのが彼の願い
だ。法律的には多分、墓地理葬法に違反し、死体遺棄に問われるはずだ。
しかし、そうやって「リスや狸たちと同じように土に還る」ことが彼にとっての
安らかな死なのだ。死期は序でを待たず。死は、前よりも来たらず、かね
て後ろに来たれり。人皆死あることを知りて、待つことしかも急ならざる
に、覚えずしてくる。(吉田兼好『徒然草』)。人の死は、確率100%で避け
ようがない。人間、生を受けたからには、いつかは必ず死ぬ。それが定めと
いうものだ。そのことを心に留め置き、自分らしい、逝き方を考えておくべき
である。いよいよ、お迎えが来たとき、じたばたせず恬淡と逝くためにも」。
人生のフィナーレぐらい自分流で逝きたいものですな。
家に帰るとだれもおらず、テーブルの上に夫(39)からの書置きが
あった。「長男は犬の散歩、ばあさんは墓場へ」一瞬、ぞっとしたが
そのうち祖母(80)は墓の掃除から帰ってきた(まだまだ元気でいて
ね・41歳の主婦) 40、50は洟垂れ小僧 70、80は働き盛り90
になって迎えがきたら 100まで待てと追い返せ ぐっさんハイ!