(塚越):”いろいろ考えてみましたが「やる気が起きる会社」にするには「自分
の家と同じように思える会社」をつくることだろうと。だれだって、自分の家の
ことなら一所懸命になるはずでしょう。そう皆んなに思ってもらうためには、只
単に利益を上げればよいというのではなく、社員皆んなのための会社づくり
が重要であると考えたわけなんです。(質問者):それで経営は改善されてい
ったんですか?。(塚越):皆んなで努力した甲斐があって会社は、少しずつ
発展してきたのですが、その過程で社員全員がたいへんな苦労をしました。
設備が故障して、その修理のために深夜まで働いたり新しい設備を導入する
ために女性社員に炊き出しをしてもらいながら、数日間昼夜連続でがんばっ
たりしたこともあります。そんな体験から、一緒に力を合わせてくれた社員の
ために何ができるのかを、ますます考えるようになりました。そして次第に「
会社は経営者や株主のために存在するのではなく、一緒に苦労してくれた、
仲間たち全員のもので、会社は社員の苦労に報いるために発展し、利益を
上げる必要がある」という思いが強まっていきました。こうして、「会社の発展
を通じて社員がみな幸せになり社員の幸せを通じて社会に貢献するべきだ」
という私の経営に対する基本的な考えができあがっていったのです。(質問
者):基本は、社員の幸せにあると。(塚越):ええ、そのためにも企業にとっ
て重要なのが「永続」することです。潰れてしまっては元も子もない。私の
座右の銘に江戸時代の、農政家・二宮尊徳の「遠きをはかる者は富み、近
くをはかる者は貧す」という言葉がありますがそういう長期的な展望が「いい
会社づくり」には不可欠です。目先の利益だけを考え短期的に高い売上高を
追い求めて高収益を上げても長続きしなければ、いい会社とは言えません。
永続するために、ゆるやかな成長は不可欠ですが最低必要な成長でいいと
私は考えるようになったんです。まだ塚越社長の話は続きましたが、ポイント
はだいたい語ってありました。終身雇用が当たり前という時代に育った老兵
がなつかしく思い起こすのは、心身ともにこの会社、このスタッフと運命を共
にするという覚悟が塚越社長にはみえること、と送り出した本家の顔色をみ
ることなく只、真一文字に限られた社員と運命を共にして難局を突破したと
いうプロセスが一番の財産になったと思います。我々のときは”社長も頑張
っている、苦しんでいる”という共感が当たり前でしたが、私の知り合いに、
一度は倒産し、再生中の会社に勤めているひとがいるんですが、いきなり
指名解雇で辞めさせたり、将来性を見極めて目先の割り増しの退職金を手
にして辞めてはみたものの仕官先が見つからずお先真っ暗という残っても、
辞めても地獄という環境では、会社でも家庭でも殺伐とした雰囲気で、こども
のことが心配だ、としんみり話していましたが、塚越社長の奮戦記がすこし
でも役に立てばいいと思いました。
   
          ストーブを真ん中に 昼飯をとった時代がありました
                    終身雇用のイイ時代 ぐっさんハイ