「様」何でも「様」をつける風潮に当初はだれもが異を唱えた。「ご住所様」
「患者様」「お名前様」などなど。だれもがヘンだと思えばこそ、異を唱えた。
だが、恐ろしいことにひとは慣れる。「かな」にも「カタチ」にも「よろしいです
か」にも慣れた今「様」も市民権を得ている状態。”敬意を表しているから、
いいのよ”と思うのか、あるいは得意の”言葉は生き物。時代によって変化
して当然”というステレオタイプの詭弁を鼻高々に弄してのことか。ある夜の
ニュース番組でサマータイムの導入について特集を組んでいた。すでに、
それを導入した会社の社員は”常連様の時間に合わせまして導入しました
”と語った。そのコメントは画面にテロップで表示されたのだが、彼は「常連
様」という言葉を二度口にした。しかしテロップは「常連客」となっていた。
常連に様をつけるのはおかしいとテレビ局でも思っていればこそ「常連客」
と直して表記したのだろう。残念なことに、こんなひっそりした直しでは、
もはや火の手は止められない。テレビ界では、腐乱状態の日本語だけでも
やめさせるバラエティ番組を作れないものだろうか。腐乱状態の原因はバラ
エティにも一端はあると私は思っている。是正する責任を果たしてほしい。
私は以前”ここにお電話番号様をお書きください。お電話様はケータイ様も
同様です”という言葉を聞いた。ここまで腐乱した今、「言葉は生き物」では
すまない。「大丈夫ですか」前回なにか頼むときに何でもかんにでも”よろ
しいですか”というのは不快だと書いたことがある。”ハンコよろしいですか”。
”お名前よろしいですか”の類だ。この”よろしいですか”は本来”頂けますか”
というべきである。一方”大丈夫ですか”は本来”よろしいですか”という場面
で遣われている。たとえば駅弁を買うと”お茶は大丈夫ですか”という。コラム
ニストの天野祐吉さんは一万円札で勘定する際”一万円から大丈夫ですか”
といわれて驚いたという。「的」東電は津波が、福島第一原発を襲った瞬間
の写真を公開し、”高さ的に見ましても”と説明した。何と「高さ的」ときた。
公式会見でこういう事態を説明するとき、「的」はないだろう。だが今や「的」
は当たり前に何でもつける。恐ろしいことだ。もしも東電が”会社的には原発
は安全としており、事故が起こるとは、気持ち的に想定外でございました。
専門家的には改めて説明がありますが現場的には、、”といってもヘンだと
思わないひとがふえているのではないだろうか。私は以前「カクテキ」と言わ
れて、てっきり韓国の漬物かと思ったら「格的」つまりランクのことだった。
「~してあげる」”できあがった料理は熱いうちにお召し上がりください”。”猫
のオシッコはきちんと処理してあげましょう”。”雑巾はよく洗ってあげて、日干
ししてあげてね”。「あげる」は広辞苑によると「与える」「やる」の相手を敬っ
た言い方である。「あげる」を乱用するひとは恐らく敬意をこめているのだろう
言葉に優しげな雰囲気も出る。とはいえ料理にも猫のオシッコにも雑巾にも、
やみくもに「あげる」と敬意を表するにはヘンである。以前にこどもの虐待だ
ったか事件を起こした母親に女のひとがコメントした。”お母さんを責めて
あげたらかわいそう”。「犯人」「責める」という敬いようのない言葉に「あげる」
をつける、、ヘンです。キーを叩いている老兵も自責の念にとらわれてしまい
ましたが、内館おばさまは、今後も怪しげな言葉遣いが横行したら何度でも
化けて出ると呟いてありましたが、深夜おばさまがお出になったら怖ーい。
あたしには”~してあげる”なんて嬉しい言葉は、ついぞ耳にしたことは
ございません。此間スーパーで買い物したら”カードで大丈夫ですか?”
といわれたので”大丈夫!”と応えてしまった。これは意味シンな言葉だ
100円経済の ぐっさんハイ