先ほど、西宮市吹奏楽団の音楽監督、北野徹先生のレッスンを見学させていただきました。ずいぶんご無沙汰して失礼していましたが、とてもお元気で良い勉強をさせていただきました。
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    大人数の合奏では「倍音」もよく聴こえます。あるいは倍音同士の「ぶつかり合い」も起こったりと、合奏にとっては出来を左右する重要な音楽の要素でもあります。
  「倍音」は、昔から合唱などで聞こえるはずのない音がするという「天使の声」として神秘的な存在でした。私は以前から「倍音の話」にとても興味を持っていました。楽器を語るのに倍音の話題は避けて通れないと思うからです。
   特に整数倍音列は「純正調」とも直接的な関係があり、オケやバンドでこの関係を知っている事は唸りのない和音を目指す上での重要な条件です。ピアノや電子楽器はいわゆる平均律ですから、この杓子定規な組み合わせで擬似的に作った音程はオクターブ関係を除いて自然倍音列とは「似て非なるもの」です。チューニングメーターは当然平均律ですから、油汗を流して合わせることができても、唸りのない和音にはなりません。いくら高価なシンセサイザーでも、高音域の三度音程はびりびりと唸っています。
   例えば金管アンサンブルで(バスチューバ→中音楽器→トランペット)が解放ピストンで低音からBb F Bb  Dで和音を形成させると「唸りのない」和音となります。その時には、チューニングメーターがBbはプラスマイナスゼロ、Fはやや高め、Dは20セント(半音の5分の1)ほど低くなります。金管の場合はもともとが、自然倍音列の組み合わせで音階を吹いているので、同じバルブ番号で和音を作れば純正調の和音になるのです。やっかいなのは、違うバルブで構成された金管楽器の和音です。例えば、トランペットのラ、ド♯、ミの和音だとミ(ピストン0)が低くなるので唸ってしまいます。この時には、替指でミ(ピストン12)などの工夫が必要です。
   フルートの3オクターブ目などは、1オクターブ目の倍音列によって、運指が形成されていますので、運指表を見なくても、替えの運指が分かります。3オクターブ目の運指がゴチャゴチャしているのは、この自然倍音列のピッチを平均律に近づけるためだったんですね。3オクターブ目で、とにかく管を短くするサキソフォンとはそこが違います。
  さてフルートの倍音は、運指だけでなく、音色にも大きな影響を与えています。例えば、ヘッドジョイント練習でも、いい状態の時には、吹いてる音に倍音が程よく聴こえてきます。オクターブ上の倍音が一番聴こえるのですが、「最小限のスピードを加える」だけで、オクターブのジャンプができます。言い換えれば、自由自在な演奏の可能性が広がります。
そこでフルート練習今日のまとめ
1  倍音をよく含む音色は良いアンブシュア
2  オクターブの倍音を聞き取れ時はジャンプしやすい
3  純正調の和音を作るには平均律との誤差を知っておく、 と同時に和音の中でピッチを取る練習が必要です。

   「耳をすませば」管、弦楽器は運指以上に倍音を聴きとるトレーニングが大切だと思う今日この頃です。フルートは本当に楽しい!