世の中には、最悪の事態を避けるためにはどうすればよいのか？

そうした内容の事柄が尊ばれる。

一方で、幸せや感謝といったものが善きものとされ、それ以上深く追及がされることがない。

でも、これはよく考えてみればおかしい。

最悪を経験しなければ、感謝や今、足元にある幸福感に容易には気づけないからだ。

たとえば、親が重病に罹った、あるいは亡くなった。

そうした最悪と思われる事象が起きて、親のありがたみに気づくことがある。

震災が起きて日常や平凡のありがたさに気づかされたなんて言葉を聞くこともある。

重病を告知されたとき、はじめて人生の意義を深く考えるようになったという話も聞く。

こうしたことを考えてみれば、以下の内容がおかしなことがすぐにわかる。

良きことが起きて（最悪な事態を避けられて）感謝です。

良きことが起きて（自分には不幸なことが起きなかったから）運が良い。

つまり、ここには「自分さえ」というエゴしかない。

そして、僕たちはこうしたエゴを増長するような常識、情報がまかりとおっている世の中にいる。

自分に今無いものに目を向けさせ、渇望させるのがエゴの特徴。

それを巧妙な理屈でキレイごとにし、簡単便利に解消、解決できるような方法があると思わせる情報がたくさんある。

他人の人生の正解なんてわかるはずがないのに。

ここに気づいたとき、世の中嘘だらけだと気づく。

だから、せめて自分は仕事の正道を歩みたいとも思える。

自身が乗り越えるべき課題が浮き彫りになるのは、仕事（正業）の現場だから。

最悪なこと、失敗、挫折がなければ、人間的成長はない。

つまり、嫌なことが身に降りかからなければ、人を思いやる心も育たず、自身の命の使い方もわからないのだ。

正解なんてものを早々に選べないから、迷走の中で命の価値に気づける。

ＡＩが進歩し、その答えなるものが簡単に分かり、依存するようになれば、人間の存在価値はない。

世の中的な正解を得ることが、生きる目的ではない。

なぜなら、思い切り生き切ることでその目的が少しずつわかってくることに意義があるから。

後悔、失敗、苦渋、悩みがあって当たり前。

紆余曲折の中でしかわかならいことはたくさんある。

人生の目的とは関係ない成功、お金、快適なんてものをぶら下げたものを自分は信じない。

当たり前なこと