
昨年、上映間の数は少ないものの全国で公開されたこの映画のことは全然知らなかった
たまたま学芸大学駅近くの会場での上映と関連イベントの事を見聞きして、最近よく考えていることに結びつけて何かヒントは得られないものかという動機が湧いて映画の内容に関心を持ったものだから、興味が冷めないうちに参加を申し込んでみたのだ
大変内容の濃い映画だったし、上映後に開催されたカルチャーショップの店主さん達のトークイベントで聞けた含蓄豊富な内容がまた楽しくて、満足度の高い時間を過ごすことができた
この日、会場で理解できたことは大凡こんな内容だと思う
この映画の中で舞台となるレコード店は地域の文化を醸成するコミュニティの中心として機能している
アザーミュージックが取り組んでいたことは、タワーレコードのような大手と違い、一般に聞かれないけどマイナーだけど自分の趣味に合う音楽を求めて店へ足を運ぶ客に、店側は自らが細分化した音楽ジャンルのカテゴライズと店員の豊富な知識を武器に時間をかけて親身に提案営業を行い、結果として客は昨日まで全く知らなかったミュージシャンのレコードを購買し、同時に店側の決して多くの儲けはないがレコード1枚売る為に注ぎ込まれる熱量が客のクチコミ情報に昇華、啓蒙伝播された音楽が、決してヒットではないが静かにセールスを伸ばして一定のファンを獲得していた
やがてレコード、CDのフィジカルメディアから時代は変わり、音楽配信がメインとなるとあらゆることが効率重視に寄っていく
言い方を変えるとweb、ソーシャルメディアの世界は無駄なこととの親和性が低いのに対して、対面重視のリアルなコミュニティでは効率性の悪さに価値が置かれる
トークイベントで店主さんの一人がこんな例え話で補完してくれた
「客が好んで通っている店があるとする、そこの店長と話をして仲良くなり色々情報をもらって自分を磨きたいと思って足を運んだその日、でも既に店長は先客の相手をしていて、シャイな性格も手伝って全く話をすることが出来ずに帰宅して、何でもっとうまくやれなかったのか、次に行った時にどうすればいいのかと、自責を通じて店との更なる関係構築へのステップを踏み出すスタートとなる、つまり一見『無駄』だった行動にも意味がある」
頭の中でグルグルしているアイデアを少しずつでも整理する、そのために今回のような普段接しない刺激的なテーマに浴することが結構効果がありそうだとわかり、こんな機会を出来るだけ多く持つのも悪くないと、次のイベントの物色に意欲が湧いてきたところだ