既に日本の現代文化の象徴とも

言える「空気読み」の習慣

日本人の美徳として見直されている

他人への気遣い、とは別面の意味で

社会病理的な存在と認識されている

この「悪習」のきっかけを日本に持ち込んだのは、

欽ちゃんかもしれない

「シット・コム」という

アメリカで1950年代から始まった

スタジオ収録を公開にして観客の

目の前で番組が進んでいく手法がある

テレビを生放送スタイルにした場合、

基本的にNGが許されず、

特にコメディー番組では、作り手が意図した

タイミングで笑いがおきないと、視聴率の

数字にも影響する

「シット・コム」とはそれを補う演出であると同時に

実はシビアな状況をも作り出す

舞台装置なのである

欽ちゃんはこの緊張を日本のテレビに

導入したのだ


観客が直接画面に映らない場合は

笑い声が音声のみで流れるという

ことになるが、これが観覧がなくても

笑い声を故意に番組内に流して

笑うきっかけを作る、という今日の

テレビでの手法の原点になっている


空気読みは元々はお笑いなどの

芸人同士の上下関係の中で、

笑いのタイミングの共有という意味合いで

元々存在していたものらしい

以来、お笑い番組の喧伝活動を

通じて、この「縛り」の伝統は

笑い以外の場面のあらゆる「秩序維持」

の装置として、日本全国に浸透していった


その場で自分が演じるべきキャラを

的確につかむこと

笑いを強要されるお笑い番組同様、

あらゆる場面が場の空気を読む、

という暗黙の台本に

もとづき演じわけられている