今朝のラジオでわが県の国立大学の医学部に「不明熱外来」という診療科が発足するといっていました。これは大変いいことだと思います。

 
不明熱といえば、私自身がずいぶん苦しめられた経験があるので、似たような症状で苦しんでいる人のためにちょっと経験談を書きます。
 
私の症状はどうだったかといえば、まず毎日午後2時ごろに急に微熱が出て、これが夕方の6時ごろまで続き、6時を過ぎたころにピタッと平熱に戻る、というパターンでした。時間も体温も判で押したように毎日同じで、熱は常に37.5度くらいで、体はけだるいものの仕事ができないほどではない。といういやらしいものでした。これが約3年間続きましたが、最終的に原因が判らないまま収束しました。
 
症状が出始めたのは223歳のころ、ちょうどアメリカに赴任して1年経つかどうかのころだったと思います。はじめはなんか鬱陶しいけどなんじゃらほい?という感じでしたが、そのうちにすぐ直ると思っていました。ところがいつまで経っても治らないので病院に行ったわけですが、医者の方もいろいろ検査するものの全く原因が判らない。
 
赴任先が西海岸でお医者さんも日系人がたくさんいたので言葉は問題なかったのですが、とりあえず首をひねるばかり。医者の指示で毎日定期的に体温を測定したら、先に書いたように規則性があるというのが分かり、なおさら混乱しました。
 
検査も血液やら内臓やら、40年近く前にはアメリカでも貴重なCTスキャンまでやりましたがわからないまま。結局体調は仕事ができないほどではないし、まだ20代半ばで体力もあったし、6時を過ぎれば熱も下がって夜は元気ということで普通に過ごしていたのですが、何に参ったかといえば「原因不明」ということ。
 
これはあらゆる意味で体調について疑心暗鬼になり、どこかで自信を無くしてしまいます。これが不安につながり、一時期不安神経症になってしまいました。環境が変わるということでいえば、症状が始まって1年半くらいして西海岸から東海岸の事務所に移動したのですが、これでも微熱のパターンには変化がありませんでした。
 
結局1回日本で検査をしたいと会社に申し入れて、赴任後3年半で初めての帰国をしました。帰国後大阪のとある大学病院に通っていましたが、数か月するうちに症状が出なくなりました。とはいっても原因はこちらでも不明のままでしたが、結局症状が消えれば調べようもなくて、このまま収束してしまいました。
 
10年くらい前に何かの記事を読んでいたら「慢性疲労症候群」というのが書いてあり、その中の症状の例の中に、なんと私の微熱パターンも載っているではありませんか。まあここで初めて自分なりに病名が判明して気分がすっきりしたわけです。
 
本当にそうなのかはわからないし、慢性疲労症候群自体が得体のしれない症状を強引に当て込んだような気もしないではないですが、要するにストレスから来るようなことを書いてあったと記憶しています。まあ帰国したら自然に消滅したのが何よりの証拠でしょうか。
 
まあ新入社員1年目で言葉も仕事もわからないまま渡米して仕事も英語もOJTで覚えろという、今では考えられない環境で、仕事が終わりヘロヘロでアパートに帰っても孤独なだけでストレスを感じるなという方が無理でしたし、これはこれで多分そうだったんだろうなと、今となっては納得しています。今のようにインターネットが普及してPCさえあれば何処にいても誰とでも繋がれる環境だったならば事情も少しは違ったのかもしれません。
 
まあこんな経験があるからなんですが、今でも都会で孤独とかいう話を聞くと「何を贅沢なことを、孤独といっても日本語で生活できるし、テレビもラジオも日本語で聞ける環境じゃないか!」などと無慈悲に思ってしまいます。
 
私のように検査には何も引っ掛らないけれど、具体的にパターン化した発熱があるという人は何か見えないストレスを抱えているかもわかりませんので、その方向からのアプローチをお勧めします。