4月から始まった新しい朝ドラの「なつぞら」もほぼ1カ月たちました。ストーリー展開とかはなんともまだ言い難いのですが、少なくとも退屈することなく毎回見ています。このところハズレが少ない作品が続いているようでいい傾向です。
「あまちゃん」の数作前に朝っぱらから妙にテンションの高い意味不明なのが1作あって、なんか視ているのに疲れてしばらく視なかった時期があるんですけど、あまちゃんの3カ月総集編を視てからそのままカムバックしています(笑)。
で、今の朝ドラですが、舞台が北海道の酪農家という設定なので戦後のなんでも人力でやる酪農家の世界が描かれています。主人公が終戦時に7歳前後と仮定すれば私より20歳くらい上のお姉さんということになります。
私は中国地方のド田舎の酪農地帯で小さな酪農家の次男坊として育ちました。そして、このドラマで描かれている酪農家の実態というのは、ほぼ私の子供時代の実体験と被っています。そこから言えばドラマの中の酪農家の実態は実際の戦後直後の状況よりかなり進んだ内容なのか、それとも20年違っていてもこの世界の進歩があまりなかったのかもしれません。
我が家でも子供のころはまだ乳しぼりはすべて手でやっていました。その絞った牛乳は「乳缶(ちちかん、高さ1mくらいの鉄の容器)」に入れて地域の集乳小屋に猫ぐるまで朝晩運んでいました。ここに酪農組合のトラックが集めに来るわけです(ドラマでは現段階で組合に入る・入らないをやってますね)。私が子供の頃は集乳はトラックが当たり前だし、田舎の農家でも移動手段にオートバイや耕運機で引っ張るトレーラーがあったので、ここは20年の違いがありますかね。でもまだ馬車で荷運びの請負をする人もいましたね、そういえば。ちなみに車が普及しだしたのは昭和40年代で、近所のおじさんたちがみんなこぞって運転免許を取り始めました。
しかし、昭和30年ごろの牛舎で自動給水機(牛がどんぶり状の容器に鼻を突っ込こむと水が飲める)が映っているのは愛嬌でしょうか?それとも北海道では普及していたのかな?我が家では私が小学校高学年(S40代前半)でやっと導入しました。牛の水やりも大変な作業で、1頭がバケツで何杯もの水を飲むため、水やりはかなり大変な作業でした。水をやったり(糞尿の混ざった)敷き藁を交換したり、えさをやったりと物心ついた時から子供の重要な仕事でした。
子供の仕事といっても、手伝いというより働き手として認識されていましたね。そういう意味では親とある部分では対等な立場で作業を共有しており、ちょっと変わった関係だったのかもしれません。当然小学生の頃には機械なんかも使ったりしてました(オートバイや耕運機その他)。大変だったけれど今ではいい思い出です。特に父親の記憶は自然と一緒に仕事をしていたシーンがいまだに出てきます。
そういえば、ドラマでは一人で1頭の牛を連れているシーンが何度か出てきますが、これは役者さんがドラマでやっているので仕方ないのですが、実際は一人で1頭なんて非効率なことは特別なケース以外はあり得ません。わたしは子どものときから1回の牛追いで5頭から10頭を一人で連れて歩いていました。
我が家では当時牛舎は家と隣接しており、放牧地は集落を外れた山の中に点在していたので、毎朝夕集落の家や田んぼの中を抜ける小道を連れて歩いていました。10頭前後も連れていると中には道端の野菜や稲を食べる牛も居たので結構苦労しました。牛が発情期だと暴れることもあったし、慣れないと簡単ではありません。
それから半世紀以上が経ち、今では実家も兄に甥夫婦が加わり百数十頭の乳牛を最新の機械を導入して酪農を続けています。ドラマの方でも現代バージョンに移行するころには牧場も現代化したものに変わるのでしょうか?まあそれほど牧場のシーンは出なくなると思いますが。ちょっと寂しいですかね、私的には。