『泥の薫り』 | 洋風文芸館(旧時計台)”おにょにょの館”

洋風文芸館(旧時計台)”おにょにょの館”

大正時代に金沢市を見下ろす卯辰山の山麓に時計台が建築され、洋風文芸館として今に残っています。文芸館の管理人”おにょにょ”は映画や文学、ときに音楽をこよなく愛する奇妙な生き物です。このブログはその”おにょにょ”が愛する作品達を、備忘録として残したものです。

泥の薫りでむせかえる

初春の昼下がり

露でぬれた下草が靴底を支えている

わずか数尺の距離なのに

随分遠かった

 

青葉が顔を出した泥の裂け目

いくつも作った泥団子

今日のは出来がいいと顔もほころぶ

縁側の下の蟻地獄の巣は

どうなったろう

 

どこにでもあった泥たまり

即席の堰はすぐ切れた

長靴の中はじゃぼじゃぼいっている

にわか雨にうたれたら

おうちが恋しくなりました