『幼い兄弟』 | 洋風文芸館(旧時計台)”おにょにょの館”

洋風文芸館(旧時計台)”おにょにょの館”

大正時代に金沢市を見下ろす卯辰山の山麓に時計台が建築され、洋風文芸館として今に残っています。文芸館の管理人”おにょにょ”は映画や文学、ときに音楽をこよなく愛する奇妙な生き物です。このブログはその”おにょにょ”が愛する作品達を、備忘録として残したものです。

私が寄り添うあなたの幼い面影に

大人びた表情があった



無邪気に笑い身を寄せる私は

そのことを知らない



カメラを見据えるあなたの眸に

曇りはない



あなたはその幼い体に

どこまで成熟した精神を宿していたことだろう



その聡明な視線の中に

不安や怒りや喜びは見いだすことができない



ただカメラの先に人生の真実をみつめる

冷徹なあなたが内包されている



あなたはこの世に生を受けて何を感じたことだろう

あなたが感じた総体を私は受け止めることができるだろうか


あなたは黙って私を受け止めた

拒絶することもなく黙って受け止めた