君と、どこまでも響け(41) | お山でイッパイ一杯なハートビート♡

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嵐の智くんと翔さん、要はお山ネタを中心に自己満足にて投稿しております(笑)。妄想話なんかも書いてみたり(≧▽≦)NEWSの増田くんと加藤くんも好きで、あまり同志の少ないシゲマス萌もたまに書き込んでます( ´艸`)なにわの丈橋も♡

   このお話は私たちの住む世界の実在する人物とは一切の関係はございません。どこかにある違う次元の世界のお話です。
(腐、BL要素を含みます。ダメな方はお戻りください。)






   すると意を決したのか、顔を上げた大野君は重い口を開いて、辛かったであろう去年のことを話し始めた。

「何から話そうか…。
そうだ結局中3になってバリサクやらずにアルトになったんだ。」

「そうだ、そういやバリサクやって欲しくてクラ(クラリネットの略)から引き抜かれたんだよね?」

「そのはずだったんだけど、アルトの同級生の子が中2の終わりに予定してたアンサンブルに、どうしても出たくないって言い出してさ。」

「どうして?」

「1年の終わりに初めて出た時の本番で、なんか恥ずかしいことが起きたらしくて…おいら達は演奏中だし何があったのかわかんないじゃん?
終わった後、半泣きになってて結局教えてはくれなかった。」

「え?  男なのに?」

「違う違う、ほら、木管楽器はみんな女子ばっかって言ったじゃん。」

「あ…そうか、そうでしたね(笑)。」

「とにかくおいらは絶対に出たかったから、2人で相談して、その間だけ代わることにしたんだ。
お互い代わった方が向いてるよって、周りや先生からも言われ、おいら達もまんざらでもなかったから結局そのままでいくことになったの(笑)。」

「そうだったんだ〜、これも運命だよね。
大野君のバリサクは聴いたことないけど、アルトはめちゃめちゃ上手いもんね!」

「…そう?  ふふ、ありがと(笑)。」

   強張っていた空気が少し緩やかになったと思ったのもつかの間で、また重い雰囲気で大野君は話し出した。

「それで中3の吹奏楽コンテストで近畿大会に出れたの、銀賞だったけど。
その時の課題曲はサックスだけのメロディがあって、自由曲ではおいらのソロもあったんだ。」

「すごいね…だって始めて2年でしょ?」

「そういう櫻井君も上達早いよ?」

「いやいや、そんな…(笑)。
あ、ごめん俺のことはいいから続けて。」

「実はこの頃から進学したい高校があって、全国大会常連校のTR高校。
でも他府県だから無理だな…ってあきらめてたんだ。」

   TR校っていえば、高校野球も割と有名なとこじゃ…。それがもしかして例のイジメにあった学校のことなのか?

「そしたらさ、まさかのスカウトされたんだよ…。」

   そう、前に岡田先輩から聞いてびっくりしたんだ!  でも今は嬉しそうな顔をしていない…。

「…らしいね、岡田先輩から聞いたよ。そりゃあびっくりしたわ!」

   俺を見て少しだけ微笑むと、

「うん、まさに棚ぼたってやつ?  
こん時は天にも昇る気持ちだった。そっからはトントン拍子で、2学期の後半から向こうの顧問に、週2のペースで個人レッスン受けてさ。
部活に合わせるから、早めに電車に乗らないと間に合わなくて。
まるで芸能人みたいに午後の授業を早退してた…。」

   何それ、経験してる世界が違うわ…。

「そんなこと、可能なの?」

「うん。だったね。うちの学校もTRからスカウトされたって浮かれてたしね。」

   もしかしたらすでにクラスの中でも…?

「大野君、そういうことしてると、クラスの奴らも、ちょっと…ね?」

   思ったより逆に、ちょっと表情が柔らかくなった。

「う〜んと、どうだったかなぁ?  
ほとんどのみんなは応援してくれたかな?  
この事があるまで逆にあんまり好かれてなかったから(笑)。」

   意外な答えが返ってきて正直戸惑ってしまった。
また地雷踏んじゃったか…?
やなこと思い出させたかな…?

「…………。」

   返事に困って黙っていると、気にせずに大野君は話しを続けてくれた。

「何回か通ってるうちに、向こうの先輩たちも仲良くしてくれて、色んな話をしてくれたり、駅まで一緒に帰ってくれたり。
同じようにスカウトされた子とも話すようになった。」

   嬉しそうに楽しそうに話してる訳ではないが、この話しを聞いてる分にはイジメが浮かんではこないが…
   部活じゃなくてクラス内の方か…?

「それでスカウトされたメンバーみんなが、定期演奏会に招待されてさ、この時初めて生演奏を聴いたんだ…。
その時の感動は鮮烈で今でも鮮明に覚えてるんだ…。」

   やっぱりクラスの方なのか?  でも岡田先輩に聞いた話とはちょっと食い違ってるな。

「…だけど、楽しかった時間もずっと続くわけじゃなかったんだ…。」

   感動したことを思い出して、キラキラしていた瞳はまた、陰りを帯びて重いトーンに変わっていった。

「…え?  それって…?」

   俺は、せっかく整理が終わりそうになっていた頭をまた悩ませ、そうつぶやいた…。






                                                       続く