学生の頃は作曲の課題が決まっていたので、時に自由に作曲したいと思うことがありました。今でも覚えている、とても残念だった思い出があります
クラシック音楽にソナタ形式という形式があります。ソナタ形式で曲を創る場合、初めのテーマが何調かによって、展開していく調が最後まで決まってしまいます。
簡単に言うと、ソナタ形式は「提示部」「展開部」「再現部」となっていて、言葉から推測できると思いますが、提示部はこの曲がどのようなテーマで、どんな音楽か、を提示するところですね。
展開部は、提示部で提示した音楽を使って様々な変化を付けながら展開させていくところ。そして再現部は、もう一度、提示部で表したもとの音楽を再現するところ。
でも、これだけではありません。提示部の中にテーマが2つ入り、最初のテーマによって、次のテーマが何調かも決まるのです。たとえば、最初ハ長調のテーマだったら、次のテーマはト長調とか・・・。でも、再現部ではまたこれが違う調にいかなくてはいけないのです。
形式とはいわばルールですね。課題だから、当然このルールに則って創らなくてはいけないのです。
ところが、途中、行かなくてはいけない調の響きが、どうしても気に入らなくて、本当はここへ行かないといけないとわかっていながら、絶対こっちのほうがこの曲には相応しい!と思い、変えてしまったところ、ひどく叱られてしまいました。
ソナタ形式なんだから、ここに行く調は絶対ここ!絶対
・・・てね。
わかっているけど、その響き好きじゃない・・・と心の中で呟いた記憶があります。
その点今は、「自由だー!」と、好きなところで好きなように転調し、もどらないときもよくある、という、自由を楽しんでいられて嬉しい限りです