太平洋戦争末期の神風特攻隊として戦地へ向かう青少年たちにスポットを当て、命の、そして平和の尊さをテーマに、戦争を風化させない、という企画意図の作品でした。
私の母方の祖父も、戦時中、招集されて中国へ渡り、そこで被弾し、生前、鉛の弾がフクラハギに残っていました。そんな祖父は、日中国交正常化の際、よほど嬉しかったようで、そのとき発売された記念切手などをたくさん購入していました。祖父の家には、その当時の多くの戦友がよく訪ねに来ていたことを、おぼろげながら覚えています。
しかし、その祖父も、昭和59年には、他界してます。
戦勝国であれ、敗戦国であれ、第二次世界大戦の戦時を体験し、平和であることの尊さを身をもって理解されていた方々もその多くがすでに世を去り、昭和の記憶が遠くへ追いやられつつある今、時の経過ととともに、社会情勢がかなり大きく激しく変化していることは事実です。
国のレベルであれ、個のレベルであれ、平和でいられることはとても大切だと思います。しかし、ひとたび自らの権利を侵害されたとき、自身の権利さえ放棄し、死さえも待つことを受け容れられるのだろうかと、今回の作品を見て、私は、あらためて、考えさせられました。
※キャストの皆さま(8/19の千秋楽にて)。役者さんの迫真の演技の熱がこちらまで伝わってきて、舞台自体はとてもよかったです。