新章です!

飛龍(フェイロン)という創作上オリジナル設定の国が出てきます。

飛龍の設定説明なんかはおいおいやります(*´ω`*)

今回はさくら荘管理人・桜井 茜さん目線でお送りします。

やっと李君の話!

そもそもの創作のきっかけのような…本編みたいな感じです。

よろしくお願いいたします!

 

追伸

HN変えてみました( *´艸`)

 

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すっかり忘れてた。

耄碌しちまったか、と苦い気持ちになった。

嫁入りしてから数十年管理人として初めての事だ。

いわゆる、ダブルブッキング

 

連絡は貰ってた。

 

『一人の青年をアパートに滞在させてほしい。』

 

古い友人からの何十年ぶりかも忘れてしまうくらいの頼み事だった。

だからこそ、お前さんの頼みであれば、と二つ返事で了承したのに。

 

目の前にいるのは、

頬の少しこけた表情の暗い男

元々の顔立ちは悪くない…どころか、とんでもなく整っている…

不安気にこちらを窺う姿は180㎝近くあるだろう高身長にも関わらず、

少年のような印象を受けた。

 

何だろうね…この無垢さというか…危うさというか…

儚げ、

とでも形容すべきだろうか…

 

しかし、部屋は埋まってしまった。

今のところ誰も出ていきたいという話も聞いていない。

 

つい先日、これまた旧友からの突然の申し出に安請け合いをしてしまったからだ。

 

良い顔しいの見栄っ張りだねぇ…

自嘲したところで状況は変わらない。

 

どう考えてもアタシのミスだね。

 

今から誰かしらの伝手で適当なアパート手配してやるか?とも考えたが、

事情を知っている身としては、やはり難しいかもしれない…と

頭の中で考えを逡巡させる。

 

李 偉(リー ウェイ)

仕事で大きな失敗があり、精神的にまいっている…と聞いた。

人が集まるような所に行くと貧血のような症状が出る。

なので、一人で静かに過ごしたいという要望だが、

飛龍(フェイロン)というお国柄上それを周囲に伝えてしまうと

本格的に病気の疑いをかけられてしまい大事になるので、

日本にやってきたらしい。

内科系の病気の疑いは無いらしいが、

胃が少々荒れていて、食事はとれたりとれなかったりするらしい。

どうにも心因系の病では無いかと推測されるが、

お国では精神科の受診を親族が拒否したとのこと。

詳しい事は知らされてはいないが、あらましはこんな所らしい。

 

この、前情報を踏まえた上で実際に会ってみたら

たしかにコレは…想像以上だった。

一人にしておくのは危ういと感じる…

彼女が、この青年のためにどこかしらのホテルをおさえるでもなく、マンションだの何だのの一室を手配するでも無かった理由が垣間見えた。

 

翻訳アプリを駆使して、

アタシの家にホームステイさせるという折衷案を提示した。

幸い部屋は片付ければ1室くらいどうにかなる。

 

目の前の美青年は困惑した表情をして、少し考えた後に

 

「是…」

 

と、か細い声で承諾した。