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おひさしぶりです…半年近く空きましたが、

前回の創作のお話の続き…ではなく、

前日譚を書き終わったので投稿します!

長いので3分割くらいにして投稿します~

続きはまた明日にでも…

読んでいただけたら幸いです(*´ω`*)

 

↓↓

 

憧れの!東京にやってきた!

山田 誠二(18)の場合

 

 

憧れの!東京にやってきた!

18年間ずっと山形しか知らない俺にとって、東京はテレビでずっと見てきた憧れの場所だった。

しかも!念願の一人暮らし!!

実家は両親、じっちゃんもばっちゃんも弟もいて、すぐ近所に叔父一家の家もあるし外出すれば誰かしら同級生とか、知り合いに遭遇する小さな町で、どこで何をしていたかが筒抜けなプライバシーなど無いに等しい所だった。

(田舎あるある)

 

東京での一人暮らしも親に反対されたけど、

自分の学力よりも大分上だった難関校と呼ばれる大学に現役で合格する!

と高2の夏に宣言して見事有言実行した。

まぁ、合格通知書見せても両親とも中々信じてくれなかったから、俺がまさか受かるなんて露ほども思ってなかったんだろうな。

その辺りは少し胸がもやもやっとするけど…

 

でも、いいんだ!

東京で一人暮らし!有名大学の学生!キャンパスライフ!

都会のオシャレな友達ができて、

都会のなんか素敵な所で遊んだり、

オシャレなサークルに入ったりして、

都会の彼女なんかも出来たりして!?

オシャレなカフェでデートしたり、

オシャレなお店で買い物したり、

なんか、こう…しゃれたなんか…アクティビティ…?

夜のネオン街を練り歩いたり…?

よく知らないけど!

 

とにかく!イオンでデートしなくていい!!

選択肢一択だったあの頃よ、さよなら!

きっとたくさんあるんだ!!オシャレな都会っぽいことたくさん!!

素敵な大学生活を満喫するんだ!!

 

それに、今日から俺が住む家は…メゾネットタイプの超オシャレ物件!!

現地に行くのは初めてだけど、

ネットで見て一目惚れして速攻契約した物件!

行くのが楽しみすぎる!!

 

スーツケースを転がしながらマイ・スイートホームへと向かった。

 

 

―…

 

到着した。

俺は少し泣きそうになった。

ネットで見た通りのオシャレなアパートだった。

白い外壁はタイル張りで、大きな半円の窓が各戸にありオシャレな装飾がしてある。

俺の語彙力では、これ以上説明できない…

オシャレすぎる…

 

そして、不動産屋から送られてきた、

これまたオシャレな不思議な形の鍵を握りしめ、

スーツケースを持ち上げ息切らしながら階段を上がる!

3階の部屋へ到着!

いざ!ハッピーおしゃれ!都会生活の始まりだ!!

 

・・・・・・・・・・・・・え?

 

鍵が…入らないんだけど…?

 

―――…

 

『…お客様のご家族にお伝えさせていただきました。ご確認ください。』

 

??

どういう事…?

 

スマートフォンの通話が切られた俺はプチパニックだった。

鍵が入らなくて、どうしたものかと思って不動産会社に電話してみた。

 

半ば強引な物言いだったが、要するにこの家は俺が契約したけど、

よくよく確認したらもう既に入居者が決まってて、

何か手違い?で鍵も送ったけど、結局他の人が入居するからキャンセルになった?

家族には伝えました?だと?

そんなふざけた話ある…?

 

ていうか、俺はどうしたらいいの?

明日には引っ越しのトラック来るんだけど…

え?どうするの?俺?

 

さっき不動産屋がご家族に伝えたとか言ってたけど…

誰に言ったんだ?

俺何も聞いてないけど?????????

ていうか、俺のスマホに電話しないで実家の固定電話にかけるって何?

何その対応?

 

次から次へと憤りが沸き上がる…でも、怒っててもしょうがない、まずは事実確認!

そうだ!実家に電話をかけよう!

 

数コールの後、

電話に出たのは、ばっちゃんだった。

 

※標準語でお届けします

 

『もしもし?あ~!せいちゃん?東京着いたの?』

 

「おばあちゃん、俺のアパートキャンセルになった話知ってる?」

 

『きゃんせる?』

 

「東京の不動産屋からの電話!少し前に電話来たらしいんだけど」

 

『東京の不動産屋…あ~なんかそんな電話受けた気がするわ…』

 

「ばっちゃんだったの!?困るよ!なんですぐ俺に言わなかったの?」

 

『何言ってるか、ばあちゃん分からなかった。外国語で話してきたから。』

 

「……………そっか、」

 

多分…ここまでの話から推測するに、不動産屋はばっちゃんが電話口に出たのをこれ幸いと難しいカタカナ言葉ばかり言って今回の件を有耶無耶にしたのだろう。

非道すぎる…

詐欺師の手口かよ…

 

『…せいちゃん、何かあったの?』

 

「ばっちゃん…俺どうしよう…住む家がダメになっちゃった」

 

『なにっ!?火事でもあったの?』

 

「…火事とかでは無いんだけど…、東京での住む家が住めなくなっちゃったんだよね。」

 

自分で思ったよりも情けない声が出てしまった

ばっちゃんに愚痴を言った所でどうしようもないのに…

絶望感というのかな…なんか手足が冷えてきた気がする。

それなのに、変に頭が冴えたような…妙に冷静になっている自分を感じた。

高揚していた、浮かれ切っていた数時間前の自分はもう完全に消滅した…

まだ東京に着いて1日も経っていないのに、この感情の起伏の高低差が信じられない。

 

少し間が空いてから

 

『…せいちゃん、ばっちゃんに任せろ。少し待ってて。』

 

そう言ってくれたばっちゃんの声はどん底の気分の俺にはとても力強かった。

 

そして、携帯の画面には通話終了の文字が表示された。

 

そうだ…思えば昔からばっちゃんは頼りになる。

俺が小学生の頃、給食袋を出し忘れてかあちゃんに拳骨食らわされて、

 

「こんな夜中に出されても洗濯して乾くわけないでしょ!!明日はそのまま持っていきな!!」

 

と、かあちゃんにド正論でまた殴られ、きれいになってないと怒られるんだよ~!!と泣き喚く俺にばっちゃんは言った

 

「ばっちゃんに任せろ」

 

翌朝、魔法のようにきれいになった給食袋を手渡された時には子どもながら感動した…

他にも色々あるけど!ばっちゃんは俺にとっての救世主でもあり、時々さっきの不動産屋の件みたいなミスを引き起こしたりもする、でも!全部ひっくるめても頼りになるばっちゃんだ。

 

つまり、ばっちゃんはおれの救世主だ!!

 

そして、そんな救世主から俺に電話が来た。

この状況をなんとか救い上げてくれるはずだ!!

 

つづく