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ホテルコンシェルジュのブログ

ラグジュアリーホテルのコンシェルジュとして働いています。
様々な情報をホテルマンの目線で情報発信していきます。

2025年11月14日、中国政府は治安面への懸念を理由に、日本への渡航に関する制限を発表しました。これにより、日本の観光産業への影響が懸念され、各メディアでも大きく取り上げられました。
 

報道では、影響を受けた宿泊施設や土産店の様子が紹介され、日本全体が大きな打撃を受けているかのような印象を受けることもあります。一方で、影響は限定的であるという見方や、業態によって状況が異なるという指摘も見られます。

本記事では、ホテルコンシェルジュとしての現場での経験や、業界内での情報をもとに、実際の影響について私なりの視点でお伝えしたいと思います。
 

私の勤務するホテルでは、コロナ禍以前は多くの中国からのお客様をお迎えしており、宿泊客の中でも大きな割合を占めていました。しかし、コロナ禍以降は経済状況の変化なども影響してか、客層に変化が見られるようになりました。

比較的価格帯の低い宿泊施設では、中国からのお客様が増加しているという話も耳にしましたし、観光地でも多くの旅行者を見かける状況は続いていました。一方で、私の勤務するようなラグジュアリークラスのホテルでは、中国からのお客様は徐々に減少していきました。

私の勤務するホテルは中国のSNS(小紅書)などでも数多くの高い評価をいただき、多くのお客様にご利用いただいていましたが、ここ数年でその数は大きく減少しました。ただし、その減少は今回の渡航制限以前から見られていたものであり、今回の政策による直接的な影響は、私の職場においては大きくないと感じています。
 

その一方で、欧米諸国を中心に日本への旅行需要が高まり、結果としてホテル全体の稼働率は維持、あるいは向上しています。同様の傾向は、他のラグジュアリーホテルにおいても見られるという声を聞いています。またビジネスホテルにおいても、中国からの団体旅行の減少はあるものの、台湾や韓国、欧米からの個人旅行者の増加により稼働率を維持しているケースが多いようです。さらに、個人旅行者の増加によって客単価や収益性が改善したという話も見られます。
実際、以前よりも宿泊料金が上昇している施設も多く、需要の変化が価格にも反映されていると考えられます。


 

さらに、一棟貸しの宿泊施設やゲストハウスといった分野においても、多様な需要が広がっています。京都や金沢などに代表される町家を活用した宿泊施設や、地域体験を重視した滞在型の宿は引き続き人気があり、地方におけるバケーションレンタルの需要も高まっています。こうした施設では、利便性、コンシェルジュサービス、体験の質の高さが評価され、特に欧米を中心とした旅行者からの支持が強い印象です。


 

一方で、運営主体集客チャネルの違いにより、稼働状況には差が見られるものの、全体としては多様な市場からの需要の増加によって支えられていると感じています。

以上のように、私の見聞きする範囲においては、今回の渡航制限による影響は限定的であり、むしろインバウンド市場の多様化が進んでいる印象を受けます。

もちろん、地域や業態によって状況は大きく異なるため、一概には言えませんが、少なくとも宿泊業界全体が一様に大きな打撃を受けているとは言い切れないのが現実のように感じます。

各業界の皆様のご意見もお聞かせいただけましたら幸いです。