Q&A
Q.
表情語の中に「つらい、苦しい、汚い、悲しい」などネガティヴな意味をもつことばがないのはなぜですか。(奈良市MAT)
A.
ことばが作るイメージ(表情)には、「明るい、嬉しい、華やか」などポジティヴ(肯定またはプラス)な方向をもつものと、「くらい、悲しい、嫌い」などネガティヴ(否定またはマイナス)な方向のものがありますが、音相論では次の理由で、表情語はポジティヴなことばだけで表すことにしています。
1、 ポジティヴ語とネガティヴ語はどちらにでも使われることが多いため、画一的な区分がしにくいものが多いこと。
2、 1語の中に明白にネガティヴな意味を持つ表情語が入ると、ネガティヴ語がもつ刺戟の強さから、ことば全体のイメージ把握にゆがみが生じる恐れがあること。
たとえば人の名前を分析した表情語の中に「暗い」という1語があると、性格の暗さを指摘された本人のショックはことのほか大きいはずで、そのことにひきづられて、全体的なイメージ把握に狂いが生じる恐れがあるからです。
このような傾向はネーミングや普通の会話の中でもよく見られる現象です。
なお、ネガティブな意味をもつ「ダサイ」「ずるい」「汚い」などの語を分析するには、表情解析欄の低ポイント語を見ることで「優雅さがない」「清潔感がない」「爽やかさがない」のような裏側から読むと捉えられますし、それに小著「日本語の音相」18~119ページ、表21「表情語と表情属性欄」のネガティヴ語欄を併用すればさらに明白な表情が得られます。(木通)