音用慣習とは何か
人は生まれたときはどんな言語音でも使いこなせる能力をもっているそうですが、ある言語の中で育ってゆくうち、使う音の範囲や発声方法が限定されるため、使わない音は発声器官の発育が止まり、その言語にとって「発音しにくい音」というのが生まれます。
このことについて音声学者、城生佰太郎氏(筑波大教授)は次のように述べています。
「いわゆる喃語期にある乳児の発音を観察すると、乳児はほとんど世界のあらゆる言語音に用いられている音を一種の遊びとして無意識に発していることに気付くが、その無限の可能性を持つ乳児が成長して、いわゆる言語形成期にさしかかると、一時的に発音ができなくなり、更に発達が進んで母国語の発音が獲得されはじめると、今度はそれ以外の言語体系に用いられている音を発することができなくなり、遂には二度と再び口に出すことがなくなってしまう。これが普通の言語発達像なのである。」
(城生伯太郎『当節おもしろ言語学』講談社)
生活習慣から生まれるこのような癖や傾向は、発音しにくい音だけでなく、その言語固有の音の好みや特殊なことば感覚を作ります。
日本人の多くの人が「チ」や「ピ」を強い音、「グ」や「ジュ」などの濁音を暗い音に感じたり、「ティ」、「ファ」、「シャ」などをモダンな音と感じますが、このようなその言語固有の好みや癖のことを、私はその言語の音用慣習と呼んでいます。
この音用慣習が、日本語固有の表情や情緒をも作っているのです。
(木通)
このことについて音声学者、城生佰太郎氏(筑波大教授)は次のように述べています。
「いわゆる喃語期にある乳児の発音を観察すると、乳児はほとんど世界のあらゆる言語音に用いられている音を一種の遊びとして無意識に発していることに気付くが、その無限の可能性を持つ乳児が成長して、いわゆる言語形成期にさしかかると、一時的に発音ができなくなり、更に発達が進んで母国語の発音が獲得されはじめると、今度はそれ以外の言語体系に用いられている音を発することができなくなり、遂には二度と再び口に出すことがなくなってしまう。これが普通の言語発達像なのである。」
(城生伯太郎『当節おもしろ言語学』講談社)
生活習慣から生まれるこのような癖や傾向は、発音しにくい音だけでなく、その言語固有の音の好みや特殊なことば感覚を作ります。
日本人の多くの人が「チ」や「ピ」を強い音、「グ」や「ジュ」などの濁音を暗い音に感じたり、「ティ」、「ファ」、「シャ」などをモダンな音と感じますが、このようなその言語固有の好みや癖のことを、私はその言語の音用慣習と呼んでいます。
この音用慣習が、日本語固有の表情や情緒をも作っているのです。
(木通)