美しい日本語を壊す「語末の長音カット」
昔から日本語の名詞には、「東京、運動、旅行、競争、哀愁、銀行…」などのように、語末に長音が多く使われています。
これは漢語の流入を契機に生まれたもので、語末に安定感を作る上で大きな役割を果たしておりました。(参考図書「日本語の音相」第三章)
ところが最近外国語の増加にともなって、原語の発音に近づけようとする配慮からか、「コンピュータ」、「センサ」、「プロデューサ」「エヌ・ティ・ティ(NTT社)」「イ・アイ・イ(E・I・E社)」など、語末の長音をカットする不自然な現象が目立つようになりました。
だが、カットをするかしないかにルールや理論がないところから、「メニュー、ショー、アイラブユー、デビュー。…」のようにカットせずに使っている語が少なくありません。
書き文字の場合は「とーきょー」を「とうきょう」と書くように決められており、それはそれでよいのですが、音が中心となる話しことばで語末の長音をカットすると、音の流れが不自然となり、語に安定感がなくなるため、書きことばに合わせることはできないのです。そのため日常会話の中で「センサ、コンピュータ」などと言う人はどこにもいないのです。
テレビなどのアナウンサーが台本に書かれた文字どおりに、長音をカットしてぎこちなく読んでいるのをよく見ますが、アナウンスを職業とする人なら、書きことばと話しことばの本質の違いぐらいは知っておいてほしいものです。
(木通)