人々の口に上らないネーミングは失敗作
バブルが華やかなころ、我が家近くの私鉄の「野比」という駅名が「YRP野比」に改称されました。
YRPとは当時開設された 横須賀リサーチパーク という多くの通信事業会社の研究所群の略称ですが、ローマ字をナマで使った駅名は全国で始めてだと駅の人たちは誇らしそうに言っていました。
地名や駅名は、土地の歴史や文化の重みを担っているもので、それを企業が営業的意図のため勝手に作りかえる無神経もさることながら、「モダンでなければネーミングにならない」といった軽薄なバブル時代が見え隠れして、地元の人たちは今でもこの駅名に「YRP」をつけて言う人はおりません。
人々がこの語を口にしない原因には次の4つがあるようです。
1. 「わいあーるぴーのび」という音からは音相的に、何のイメージも生まれてこないこと。
(これは体験版でお確かめください)
2. 初めの部分『waiaa』で、母音が5音連続するため、非常な難音感(言いにくさ)
があること。
3. 意味を持たない記号(YRP)が5文字中3文字も入っているため、よそよそしさと
覚えにくさを感じること。
4. 『のび』(2拍)が「わいあーるぴーのび」(9拍)になったため、現代人の好む
「簡潔さ」が失われ、締まりのないダラダラしたことばになったこと。
大衆は、音のよくないことばは口に出すことを好みません。
だから、人気の出なかったネーミングには、大衆が口に出して言うのを嫌ったネーミングが多いのです。
そういう例をあげてみましょう。
・E電、DIY、JA、WOWOW、ビッグエッグ…
「大衆が進んで口にしたくなるようなことばを作る」…ヒット・ネーミングを生み出すコツが、こんなことばに隠れているように思うのです。