生きている「やまとことば」の遺伝子 | 日本語好きな人、寄っといで

生きている「やまとことば」の遺伝子

 [美辞麗句]ということばは、昔からネガティブな意味に使われているように、日本人は耳障りがいいだけで内容のともなわないことばは、美しいことばではないという美意識をもっています。


 「美しいことば」とは何か。それはことばの意味や内容にふさわしい音を持ったことばのことだと思います。
 わかりやすく言えば、明るい意味のことばには明るさを感じる音を、寂しい意味のことばには寂しさを感じる音の入ったことばが美しいことばといえるのです。


 現代人は音響機器やメディアの発達などにより、ことばの音に鋭い感性をもっていて、次々と優れた流行語が生まれるのも、よりよいことばを求める人々の無意識から生まれた現象に過ぎないのです。
 「チャパツ」「イケメン」「かっこいい」など、定着している流行語の多くは、すぐれた音相をもったものが多いし、意味がまったくわからなくても音が良いだけで高い人気を得ている外国のブランド名は数えあげればキリがありません。
 また、音の響きのよくない「ビッグ・エッグ」、「DIY(ディ-アイワイ)」、「WOWOW(ワウワウ)」「E電」などは、発表になったその日から誰も口にする人がいないのです。
 これらはみな、現代人が高い音相感覚を持っているからに他ならないのです。
国語の乱れがしきりにいわれる現代ですが、これらの事実に見られるように、音韻だけは太古と変わらぬ生き生きした光りを私は感じるのです。

 「言語は、時代とともに変化をするが、音韻は1000年に2%しか変わらない」という言語学の説がありますが、今の流行語を分析すると、やまとことば時代の音相とまったく同じ譜系をそこに感じるのです。
 それは日本語の遺伝子といってよいものでしょう。
 音相との取り組みは、やまとことばの美を訪ねる旅でもあるのです。