見落とされているリストラ策 ―― 「遊休商標」再評価のおすすめ
バブルの時代、各企業では将来作られる商品のため、社員を動員してネーミングを考案し商標登録する施策が各企業で行われました。いま、そのようにして登録された大量の商標が、企業の金庫で遊休商標となって眠っています。その数は消費財を生産する中、大手製造業では1万語以上、大企業では数万語の社も多いといわれています。
そのような登録ブームの影響で、現在では新しくネーミングを申請しても不受理となるものが多く、とりわけ意味的な要素が含まれている語は、ほとんど登録不可能とも言われています。
企業では、登録された商標は社長室や知財部、総務部などで管理していますが、その使用や運用は各事業部が中心で行われ、各事業部が創案した商標は他事業部への融通もほとんどされていないのが現状です。
しかしながら、会社がこれらの商標権を維持するのに、毎年どれほど費用がかかっているかご存知ですか。1万語を持つ会社の例でみてみましょう。
特許庁ではあらゆる商品を、薬品、化粧品、食品、電気製品、コンピューター、自動車、出版など45の「区分」ごとに申請を受け付けます。
そのため商品が属する「区分」以外のところにも同じ名前で申請しておかねばならず、その数は商品によって違いますが45区分の半分くらいになるものが多いようです。
こうして許可された商標は、10年ごとに権利の継続(更新)申請をしなければなりませんが、その際の更新料は1区分151、000円ですから、1万語を20区分に申請すると、
1万語×20区分×151,000円=302億円
となり、毎年30,2億円の印税を支払うことになるのです。(この計算には弁理士費用などは含まれません)
だがそれほど費用をかけている商標が、将来その事業部で造る製品のコンセプトからみて基本要件を満たしているものかどうかが問題です。
音相分析を長年手がけてきた当研究所の体験から推計して、一応使用に耐えると思えるものは、大目にみても3分の2程度と私は判断します。すなわち毎年支払う印税、30億円の3分の1(10億円分)は、将来も使用見込みのないものに出費していることになるのです。
10億円といえば中堅職員200人分の年間人件費に匹敵します。
以上は、遊休商標1万語をもつ企業の例ですが、その1/100規模の会社でも年間1000万円の節約になるのです。
そこで遊休中の商標が将来使用できるものかどうかのチェックが必要となりますが、それには、1つ1つの商標がその事業部の商品コンセプトに適したものかどうかを客観的立場で評価しなければなりません。
それが公正に行えるのは音相理論によるコンピューター解析以外にないのです。企業内のネーミングの専門家といわれる人でも、音相解析や客観評価が できる人はいないのです。
これまで行ってきたリストラ対策により、不要の商標はすでに整理済みと思っておられる会社もおありでしょうが、理論を知らずに評価をしても、個人の主観のはいった評価にすぎないのです。
音相分析をした結果、不適格と判断された商標でも、他の事業部へ転用すればヒット・ネーミングになれるものが必ずあるはずですし、どの事業部でも使えないものは相当の対価を得て社外へ譲渡すれば社会に貢献もできるのです。
これからのネーミングは、制作の時代から、流通の時代へと変りつつあります。当研究所では種々の角度からこれからの商標問題を研究しておりますので、お気軽にご相談ください。