車のコンセプトを表現する、7つの音
車の商品名には「動くイメージ」を表す“ラ行(R、L)”音が有効であることを前回述べたが、このことから車の名前には必ずラ行音が必要だというわけではない。
商品名は顧客に訴えたい商品の特徴(コンセプト)を音で表現しなければならないが、コンセプトの内容によって音の種類は変わってくる。
一般に車の名前で表現したいコンセプトとしては、「動くイメージ」のほか「スピード感」「モダンさ」「大型車(高級車)」「小型車(軽自動車)」「大衆車」「女性向け」などが考えられる。これらを表現する音にはつぎのようなものがある。
1.動くイメージを表す音
ラ行音、長音(伸ばす音)
2.大型または高級車を表す音
声帯を振動させて出す有声音。特に濁音、オ、ウ音。および拍(音節)数が七音以上で多いこと。
3.小型感、または軽便感を表す音
イ音、促音(「っ」の音)。および拍数が三音以上と少ないこと。
4.スピード感を表す音
破裂音(パ、タ、カ音)、促音
5.モダンさを表す音
促音、新子音(ティ、ディ、トゥ、ドゥ、ヴァ、ファ行音など)
6.大衆性を表す音
破裂音、無声音。および拍数が少ないこと。
7.女性向けを表す音
摩擦音(ハ、サ、ヤ、ワ行音)、鼻音(マ、ナ行音)、流音(ラ行音)。
以上をもとにトヨタ自動車の小型車「ヴィッツ」を見てみよう。
この音を分析すると、促音、イ音、無声破裂音の影響が強く、拍数の少ない語であることがわかる。
したがって「ヴィッツ」は小型感、軽敏感(3)、スピード感(4)、モダンさ(5)、大衆性(6)などを訴えたい車に向く名前だといっていいようだ。(木通) (日経産業新聞ネーミングNOW 1999.06.01)