おりとりて はらりとおもき すすきかな (飯田蛇笏)
桜と違い、季節外れな話題ですが、ふと気づいたことを、忘れぬうちにと書き留めてみました。
この句は改めて紹介するまでもない俳人飯田蛇笏の代表作ですが、
「すすきの穂を折り取ったら、なよなよとして軽るそうな穂先に以外な重さを感じた」、
という意味です。
軽いものに用いる擬態語「はらり」という語の後に「おもき」を持ってきて「はらりとおもい」という絶妙な造語に、作者の意外な驚きぶりを見ることができるのです。
擬態語が発達した日本語ならではの表現法ですが、作者が感動したのは、そのことからものの命の意外な重さを知った驚きだったといってもよいでしょう。
また私がこの句に対し感動したのは、そうした句の心をこの語の音相が見事なベールで包んでいることです。
分析表の表情欄では、『暖か、鋭さ、充実感、特殊性、静的、清潔感、優雅さ』などを捉えながらそれらを露わに出すことをせず、低いポイント数に抑ていることです。そのような抑制の深さが、複雑度『5』(非常に複雑)を作り、情緒解析欄の『孤高感、クラシック、流動感』となってさらなる深みを作っていることです。
ことばの音が、意味の深さに重みを添えて伝えてくる…人々に感動を与える名句には、そういう実体が存在するのを私はいつも見るのです。(木通)