「名前を変えたら人気が落ちた」という話 | 日本語好きな人、寄っといで

「名前を変えたら人気が落ちた」という話

■ 2004せんだい・杜の都 親善大使
 
 七夕祭りや、光りのページェントなどで活躍していた 『ミス仙台』 の名が、昨年から 「2004せんだい・杜の都親善大使」 と改称されました。
 改称の理由は、男女共同参画の風潮にあやかって、昨年から男性も応募できることになったため、『ミス』 を 『親善大使』 に改めたのだそうです。
 ところが改称された昨年は、応募者が前年の6割くらいに減ったようで、問題の男子の応募者は10名だったとか。

 これは新しいネーミングに応募者が魅力を感じなかったことが大きな理由といえましょう。
 この語の音相上の欠陥がどこにあるかを次にあげてみました。

1.「ミス」 が 「親善大使」 に変わったうえ、「2004せんだい・杜の都」 をくっつけたため、音(拍)の数が 「ミス仙台」 の7拍から24拍へと増えました。

 その結果「ミス仙台」のような明瞭簡潔なイメージが消え、だらだらした重たいことばになり、記憶しにくい名前になったことです。
 日本人は一音でも少ないことばを好む音用上の習慣がありますが、そういうことをまったく考慮に入れなかったことが大きな理由といえましょう。

2.「美人コンクール」 の入賞者を 「ミス」 と呼ぶのは全国で一般化されていますが、「ミス」 という音は鼻音と無声摩擦音でできていて爽やかでやさしいイメージの音を持っています。

 それを、華やぎ感がない、ゴツい感じの 「親善大使」 では、音の面でも字面の面でも 「ミス」 に比べて、イメージの落差があまりに大きいことは誰が見ても明らかです。


 昨年応募者が減ったのは、こうした配慮を欠いたことばに応募者が魅力を感じなかったからだと考えてよいでしょう。

 表現したいことの多く言おうとすると、どうしても長い文隣、それだけ明白なイメージを持たないことばになるのです。
 ことばが伝えるインパクトは文字の数に反比例しますから、音の数を一音でも少なくすることがネーミングの秘訣といえるのです。 (木通)