2012年6月

 

 

レンとの初対面を果たした後も、私はいつも通り関西で生活していた。

そして、それまで通りレンとのやり取りも続いていた。

 

 

この頃、私は毎年夏に海外旅行に行っていた。

この年の行き先はベニス。

 

 

旅行の日も当然、離陸直前まで彼とやり取りをしていてベニスに着いてからも、Wi-Fi環境では常に彼とやりとりをしていた。

 

 

「今から飛行機に乗る」

「いまイタリアについた、これから電車でベニスに移動する」

「ベニスについた」

「ホテルにチェックインした」

 

 

みたいな、旅中ずーっと彼と逐一やりとりをしていた。彼は仕事の合間に、いちいちリアクションしてくれていた。

 

 

このぐらいの時期からなんとなく感じていた。

私は、彼のことが好きなのかもしれない。

 

 

好きになったところで、彼とは住む場所が違いすぎて会いたい時にすぐ会うことができない。

前カレとは、会いたくなったら電車ですぐ会いに行ける距離なのにそれができなかった。

そんな寂しい思いはもうしたくないと思っていたので、物理的な距離のある人を好きになるのには抵抗があった。

 

 

そんな迷いなんて一瞬で吹っ飛ぶ出来事があった。

今考えたらあまりにも単純すぎる。

 

 

イタリアから帰国する日と私の誕生日がたまたま重なっていた。帰国して着信メールを見たら彼からきていた。

「ハッピーバースデー〇〇ちゃん!アイラブ〇〇ちゃん」

と、きていた。

 

 

この瞬間、恋に落ちた。