2014年7月
日毎に夏らしくなっていた。
夏休み、夏祭り、海開き…
大好きな夏の始まりなのに、心だけが置き去りだった。
亮と完全に別れた私は34歳になろうとしていた。
私は、結婚できない女…
自分の中での疑惑が確信になりつつあった。
このままじゃ嫌だ。
これから先、一生孤独な人生なんて私は望んでいない。
どうにもする事の出来ない焦りで、毎日が苦しかった。
あんな別れ方で捨てられた自分も惨めで堪らなかった。
どうしても1人で乗り越える事が出来ないと思った私は、絶対に手を出してはいけない相手に手を出してしまった…
レンと、連絡を取ってしまった。
考えて、考えて考えて…メールを送信した。いつもしていたみたいに…
するとレンは、昨日まで毎日連絡を取り合っていたかのように返信してくれた。
レンからしたら、私との別れはある日突然訪れた別れであったはず。
確かに、毎日取っていた連絡が徐々に減っていってからの別れではあったから、もしかしたら勘付いてはいたかもしれない。
最後に別れ話しをした時の、レンの涙を思い出した。
レンはどんなに私が求めても、好きだとか、そういった事は絶対に言ってくれなかったのに…
レンの涙を見た時に初めて、レンの想いを知ったような気がしていた。
急に連絡をよこしたその日も、レンは私に何も聞かなかった。
現場仕事だったからか?方言のせいか??言葉使いが少し乱暴な所は嫌だったが、安定感のあるレンの優しさが大好きだった。
そんなレンの優しさに、少しだけ救われたような気がした。
それから暫く、寂しくなるとすぐにレンに連絡していた。
レンはやはり、いつでも応えてくれた。
久しぶりに会おうか。
と、いう話にもなったが。
もし私が今まだ20代前半なら、このままズルズルとレンと戻るのかもしれない。
でも私は今、もうそんなに若くもない。
それ故に、会わない方が良い気がなんとなくしている…
レンとの恋が、自分史上最高の恋になるなんてこと、この頃の私は全く想像もしていなかった。この時点でレンは「元カレ」だったけど。この頃から、自分史上最高の恋が始まったのかもしれない。