私の携帯は、金曜の夜から一切の電波を受付ていなかった為、亮からの返事が届くわけもなく。
予定通り日曜日12時に亮の自宅へ着くように出掛けた。
彼の家が近付くごとに、急に追い詰められた。
やっぱり、やめようか…。
別れる覚悟は出来ている。
でも強引に別れの言葉を引き出して、それが本当に自分が1番納得のいく事なのか…??
散々考えた上で行動を起こしているのに、ギリギリになって急に焦りだしていた。
心とは裏腹に、ブレーキを踏むことはなく、どんどん彼の家が近付いてきた。
予告してあるとはいえやはり実家住まいな為、急に訪ねては家族にも迷惑がかかると思い、そこは配慮した。
亮の家に行く時にいつも目印にしていた喫茶店がある。そこの角を曲がればすぐ亮の家に着く。
その喫茶店に車を停め、少し躊躇ったが、電話をした。
1…2…3…呼び出し音が鳴る回数を数えた。
意外にも、亮はすぐ電話に出た。
金曜のメールには返信をしたのだろうか?それに対していつもならスグ来るはずの返信がなかった事に、亮もこの事態の深刻さを察したのかもしれない。
「はい…」
彼の声だ。
電話に出ないかも?と思っていたので少し驚いた。
しかし、彼の口からは信じ難い言葉が次々と出てきた。
今出掛けていて、家には居ない。
戻るけど、また出掛ける。
会って話す事など何もない。
少なくとも、最後に会った亮とは全く別人かのような言葉が出てきた。
だが多少は予測していた事なのであまり慌てる事はなかった。
何処に居るの?
と、問い詰めても答えなかった事と、家には居ないと言っておいて電話に出た事で(玄関先まで来られたら困るから?)居留守を使っているのは容易に推測できた。
朝メールしておいた。
もう暫く会っていない事から、察して欲しかった。
1人で居たい、1人がいい。
だいたい予測のついていた言葉が出てきた。
何も言わずにフェイドアウトするつもりだったのか?
それは、卑怯だと思わなかったのか?
もっと早くにはっきりさせて欲しかった。
自分の思っていた事を告げた。
俺はこうゆう奴だ。
いつもこうやって別れてきた。
この言葉を聞いて、完全に自分の気持ちに決着が着いた。
最低…
と、気付いたら口からこぼれていた。
亮のあまりにも最低男への変貌ぶりに、しまいには呆れてきた。
楽しかった。ありがとう。などを告げて別れたかったが。
そんな言葉を伝えようとは思えなくなっていた…
電話を切った後、メールを確認したらそこには亮が送ったと言う返信がきていた。
色々考えたけど、もうお付き合いしていけないので別れましょう。
話し合いとか、勘弁願いたい。
と、きていた。
言いたい事を伝えた後なので、特に何も思わなかった。