2014年2月
意外なまでにあっさりと、両親に亮を紹介する日が決まった。
その事を私はなかなか親に言い出せず、前日になってやっと親に話した。
「明日、彼氏を連れて来るから家の中を掃除しといて」
と、どう伝えたら良いのか分からなかったのでとりあえず、クールを装って伝えておいた。
両親はもちろん、驚いていた。
私が彼氏を両親に会わすなど、産まれて初めての事。
母はあわてて家中を掃除していた。
父も、最終のバイクの調整に気合いを入れていた。
私はと言えば…
裸祭りに参加するから見に来ないか?と、突然の亮からの誘いを受けたので。たまたま気分でドライブに出掛けた関西から地元まで駆け付け、夜中まで亮と一緒に居た。
よくあるマニュアル本には、彼からの急な誘いは断るべし。
みたいな事を書いてあるが。
性に合わない駆け引きをしてモヤモヤするぐらいなら、意のままに動いて飽きられた方が諦めがつく。と、いつも思っていた。
翌日は昼頃に待ち合わせをし、亮を連れて家に戻ったのは夕方。早速亮は父親と対面し、挨拶を交わしていた。3人で倉庫まで行き、私は興味もなかったが一応、バイクをいじる2人を見守った。
亮は結局、バイクに乗りたいと言って家に来たのに、全然乗らずに倉庫から庭まで移動させるほんの数十メートル?ぐらい走っただけ。
本当の目的はやはり…だったのか?
と、思ったらなんだか幸せな気分になった。
その後3人で地元の温泉へ行き、帰ってきてから両親と私達で鍋を囲んだ。
亮はやはり、コミュニケーション能力が高いのか?私の両親とも難なく会話を弾ませ、変に緊張した様子も見せなかった。
帰りに車の中で、疲れた?? と聞いたら、
いや、大丈夫。もっと疲れるかと思ってた。
と言っていたから、それなりに緊張はしていたのだと思う。
亮の家までの車内、私たちはずっと手を繋いでいた。
亮の家に着き、いつものように別れた。
サイドミラーに映る、私を見送る亮の姿がなんとなく…もう2度と会えないような?そんな切ない気持ちにさせた。