34歳の春。

当時交際していた彼、両親に挨拶にまで来てくれた彼から音信不通にされた失恋の物語です。web書籍にもなっておりますのでぜひご覧くださいませハート

信じていた彼から音信不通にされた辛い経験を経て、今は普通にフルタイムで働くワーキングママなんかをやっております。あんなに傷ついた過去の記憶も、今では遠い昔のキラキラした失恋の思い出ですスター

私の過去の痛い記憶が、同じように今、彼との関係に悩んでいる誰かの救いになれば幸いです。

 

 

 

 

 

 
 

 

 

2013年8月

 


 

 

私は迷っていた。

 


 

 


 

 

結婚願望のないこの男と、いつまでも付き合っていて良いのか…??

 


 

 

でも、だからってそんな簡単には別れられない…好きだから。

 


 

 

葛藤しながらレンと会い続けるのが苦しくなっていた。

 


 

 

そんな時、久しぶりに亮からメールがきた。

 


 

 

 

たまには飲みに行こうや!!

 


 

 

 
レンへの後ろめたさもあったが、気分転換になればと思い、メールがきたその翌日、亮と飲みに行く事にした。

 


 

 

亮の行きつけの焼き鳥屋へ行き、いつも通り他愛ない話しをしながらお酒を飲んだ。

 


 

 

前に亮に会ったのは年末。

 

久しぶりに会っても、昨日会っていたかのように会話が弾む感じが心地良かった。

 


 

 

 

私やっぱり、この人が好きだ!!!

 


 

 

 
そう、思ってしまった。

 

何度でも蓋をしてきた想いであっただけに、きっかけさえあれば火がつくのは簡単な事だと、今なら理解できる。

 


 

 

 
焼き鳥屋を出た後、亮はバーに連れて行ってくれた。

 


 

 

 
その日はいつも通り最終のバスで帰るつもりで居たが、バーに行く前の段階で、もうバスはなくなっていた…

 


 

 

もちろん、そんな事はどうでも良かった。

 


 

 

結局その日は、朝まで亮と一緒に居た。

 

バーが閉まった後、2人して公園で夜が明けるのを待った。

 


 

 

 

都会の夏とは違って、夜になるとひんやりとした風が心地良かった。

 

 


 

 

その日以降、レンへの葛藤は一切無くなり、むしろ再び火がついた亮への恋心で胸がいっぱいになった。

 


 

 

何処で何をしていても、亮の事ばかり考えていた。

 


 

 

毎日していたレンとのメールのやり取りも、あの日を境に徐々に途切れがちになっていた。

 


 

 

レンは私の急変に気付いたかどうかは分からないが、私には何も問い詰めるような事はしなかった。

 


 

 

そんな状態のまま1ヶ月ほど過ぎた頃、さすがにレンへ別れ話しを切り出した。

 


 

 

私は結婚がしたい、だから結婚願望のないあなたとはもう会わない。

 


 

 

そんなような事を伝えた。

 

今思うと実に、身勝手な話しであった。

 


 

 

 

俺には結婚願望がないから。

 

 


 

 

と、レンは別れを受け入れてくれた。

 

その時もレンは、私に何も問い詰めなかった。

 


 

 

 
ただ、少しだけ目に涙を浮かべているように見えた。

 


 

 

 
別れ話しの末の涙を見せた男は、私にとってレンが初めてだった。