2012年9月
私はついに、14年住んだ関西を離れて実家へ帰る選択をした。
仕事も辞めて、全てを精算して地元へ帰るつもりで居たが。
たまたま、異動という形を取る事が出来た。就職活動をするのが面倒臭いという理由で、異動の話しを受ける事にした。
都落ちと言われてもいい、逃げたって良いんじゃないか?
自分に色んな言い訳をして、地元へ帰ってきた。
その背中を押したのは、新しい男(レン)の存在。
地元に出張していた間に、友人の紹介で知り合い、ずっと連絡を取り合っていた。
知り合ってから私が引っ越すまで、実際に会ったのは1度だけ。
メールのやりとりだけでそんなに関係が続くとは思ってなかったが、案外続いた。
それに、レンとやり取りをするのはとても心地良かった。
私は彼をきっかけに実家へ戻ろうと決めた。
地元に帰りたい想いの方が強かった為、その後レンと付き合う事になるかどうかについては、どちらでも良かった。もちろん、願望はあった。
狙い通り?レンとは地元に帰ってすぐ付き合う事になった。
長年過ごした愛着のある場所を離れる不安と、異動とはいえ今までとは全く働く環境が変わってしまう不安。その2つで押し潰されそうだった心に、いつもレンが寄り添ってくれた。
多分、レンにはそんなつもりはなかったのかもしれないが、私はいつもレンの存在に支えられていた。
レンは趣味で、バーを経営していた。
仕事帰りはいつも、そこへ立ち寄りレンと過ごして帰るようになっていた。
一方で地元の同級生とは、なんとなく違和感を感じていた。30過ぎまでずっと親元で過ごしてきたかつての親友達が、物凄く子供ぽく思えた。一緒に居ても全然楽しくないと、気付いてしまった。
それもあって地元の同級生とは自然と距離を取るようになり、いつも仕事が忙しい亮への想いも次第に薄れていった。
よって、その頃の私には、レンとの時間だけが支えとなっていた。
レンとは、基本的に物凄く相性が良かった。それ故に、どんどん我儘になっていく自分が居た。
何でもないやり取りをメールしたい時…
会いたい時…
声が聞きたい時…
レンはいつも私が求めれば応じてくれた。
レンが応えてくれないと、物凄く孤独を感じていた。
今思うとあの頃の私は、レンを想う気持ち以上に、レンに依存していた。
しかし、レンには結婚願望がなかった。理由はよく分からないが、結婚はしない と言う事に拘っているように見えた。
レンに依存する自分に気付きながら、この恋の賞味期限がそう長くない事にも気付いていた。