見えてからが長かったカレーライス、ではなく、ご来光山荘。
山の斜面を無理やり平らにしたような場所に建っており、なかなか新しく見える建物です。2000年築らしいです。
中に入って、「こんにちは、予約しております○○です」とご挨拶すると、紺色のハッピを着たお兄さんが対応して下さり、登山靴を脱いでビニール袋に入れるように言われます。取り違えがなくて安心です。畳の部屋で、1泊2食7500円をお支払いします。山小屋は先払いなんですね。 「もう到着された方は夕食を済ませておられるので、6時から夕食でいいですか?」
「はい、お願いします!」
「では、お部屋にご案内します。」
ワクワクします。
ご来光山荘を選んだ理由1番目は、個室があることです。
畳の部屋の奥が客室で、フェリーのような二段ベッドが連なっています。専門用語?でかいこ棚といわれるもののようですが、仕切りが入っていて、プライバシーが保たれています。
「今日は空いてるので、113と213を4人でお使い下さい。」
「ありがとうございます!」 ラッキーです。やはり平日はいいですね。
上の段、213です。天井が高く、梁があり、
「屋根裏部屋みたい。」
とHさん。
下の段、113です。天井は低いですが、そのぶん、個室感を強く感じます。
上も下も布団は二枚ずつなのに、枕は4つ・・・。ピーク時は、一枚の布団に2人?想像すると、おそろしいです。
今日は空いてるので、2人ずつに分かれて泊まります。女子が上、おっさんは下、と即決。壁にあるフックにザックや登山靴の入ったビニール袋をかけます。
「節電にご協力お願いします」
なんと、各個室に、電灯とコンセントまで備えてあります。2700メートル以上の標高の山の中なのに、便利さに驚きました。
そうこうしているうちに、6時になったので、待望の夕食ですが、その前に、私とMさんは、トイレへ。 若い女性スタッフさんに尋ねて、玄関でスリッパを借りていったん土間に下りて、建物の西側に行くと、発電機がうなっています。その手前に若い男性スタッフさんがいて、トイレの鍵を開けてくれます。
発電機の手前がトイレです。宿泊者以外は、自販機のように、200円を入れると解錠されて中に入れる仕組みです。
個室に入って、ドアを閉めると、ガチャ。なんとオートロックです。
うわー、出かたがわからない。ここもおがくずと微生物のおかげで臭くはないのですが、カレーを食べたいからここから出なくては・・・ある意味、カレーはここに・・・・下ネタ、すみません。
壁に小さな解錠ボタンがあるので、それを押すと無事に出られました。そういえば、説明して下さっていましたね。山小屋が嬉しくて、ワクワクしすぎていたようです。
食事は、玄関口の畳のお部屋でいただきます。私たち4名だけです。畳の部屋には、たくさんの寝袋が積まれています。ピーク時は、ここも寝室になって、寝袋で寝るようです。今日は空いていてよかったです。土日に出勤だけど平日に休める仕事に感謝です。
カレーライスが到着です。しっかりとご飯の量があり、ルーもきちんと見合う量が入っています。そして、味噌汁と温かいお茶です。
「いただきまーす!」
辛口ではなく、甘口でもない、万人受けするお味で、ジャガイモやニンジンも、小さくはありますが、きちんと入っています。
「お代わりできるのかなあ?」
「あかんのとちゃう?」
「美味しすぎる。」
「味噌汁もおいしいで。」
「6時に晩御飯、良い生活やなあ。」
おいしいな、おいしいな、と食べていると、気持ちが通じたのか、お代わりらしき包みを持ってスタッフさんがやってきました。
「これ、朝ごはんです。お渡ししときますね。」
「えーっ、朝ごはん!」
朝食を前日の18:00頃にお弁当スタイルで受け取るのですね。聞けば、深夜に出発し、山頂でのご来光を目指す人が多数おられるそうです。
「Hさん、これ、お代わりにする?」
「とりあえず、ちょっと中身を見てみるわ。」
中には、ごはん、から揚げ、卵焼き、ミートボール2個のラインナップで、これなら、ベジタリアンの人以外は万人受けしそうです。
「めっちゃ、おいしそうや。」
「食べてまう?」
「捕食がたくさんあるから、部屋で捕食デザートバイキングしよか?」
ということで、カレーライスを美味しく完食した後、お弁当は朝食にいただきことにして、お部屋で、デザートバイキングをしました。
「夜景、見に行こうか?」
Hさんと2人で、外に出ると、雲海っぽい雲が広がり、空は晴れ、月が輝いていました。空には星も光りはじめていました。
「きれいやなあ」
「ほんまやなあ」
Hさん(長女)と話していると、若い女性スタッフさんが
「夜、特に土曜の夜は、夜間登山の人のヘッドライトが蛍みたいできれいですよ」
と教えてくれました。
夕方から夜になっていく時間の空の色は、オレンジっぽい色から紫がかって、濃く深い青色へと移り変わりました。その美しさに見惚れていました。寒くなってきたので、20時には、部屋に戻りました。よく歩いたせいか、すぐに眠くなり、20時過ぎには眠っていたようでした。
夜中に一度、ごそごそと動く人の物音と話声が聞こえたような記憶が微かにあるものの、きちんと起きたのは4:00前。隣のCさんに声をかけ、起きだす準備をします。長女とMさんにも声をかけましたが、Mさんは「眠たいから寝とく。」とのことなので、3人でご来光を見に行くことにします。
外に出ると、昨日の女性スタッフさんがいて、夜勤だったとのことでした。夜景がきれいだから好きだとおっしゃっていました。5時頃に勤務が終わって仮眠できるそうですが、さすがに若いからタフですね。スタッフさんが下に降りる道の脇にあるロープを越えて続く細い道を指さしながら、
「あのロープを越えて、あの小高いところに行くと、御来光がきれいに見えますよ。」
と教えてくれました。
「あと少しで日の出や、行こう!」
「うん」
遠く見えた割には案外近く、泊り客で見覚えのある人たちが4人、日の出を待っていました。
ご来光を見るのは、初めてです。早起きは好きですし、登山の時など、行く道中で夜が明けることもありましたが、きちんと日の出に向き合
って眺めるのは初めてです。同級生であるCさんとは長い付き合いですが、こんなふうに一緒に日の出を眺めるとは思いませんでした。
夜から朝に移り行く時間の空の色や雲の色、素晴らしいです。一瞬一瞬で色合いが変わっていき、一瞬一瞬が美しすぎます。
ふだんはしゃべりまくりですが、静かに見入っていました。
朝陽に照らされる御来光山荘も美しいです。
山小屋に戻ると、あのスタッフさんはようやく勤務が明けたようでおられませんでした。男性スタッフさんが、
「今から朝ごはんでしたら、味噌汁とお茶がご用意できますよ。」
と言って下さったので、Mさんを起こし、夕食と同じテーブルで、お弁当、温かい味噌汁、温かいお茶をいただきます。このオリジナルマグカップ、いいなあ、欲しいなあと思いましたが、非売品でした。オリジナルグッズは派手なピンクのポロシャツ、黒いTシャツでした。
「美味しいなあ。」
「こんなに早く朝ごはん、いいなあ。」
「よう寝たし、気持ちええなあ。」
美味しく完食して、時計を見ると6時前。ふだんならまだ寝ている時間です。
身支度を済ませ、「宿泊者はトイレ利用し放題」なので、トイレを使わせていただきます。
カレーが美味しくて、個室があって、スタッフさんが親切で、トイレも臭くなくて、御来光が見られる御来光山荘が大好きになりました。
記念に、焼き印を押していただきます。この金剛杖は、6年前、山好きの同級生Nさんと一緒に女人禁制の大峰山に登った時に、当時はストックを持っていなかったので、ストック代わりに購入したものですが、久しぶりに持ってきています。
「御来光山荘」、素晴らしい山小屋です。さあ、山頂に向けて出発です。