さて、金魚に関しては1回生、2回生と兵隊の頃の悲惨な体験を書いてきました。
しか〜し、月日は流れて晴れて3回生、幹部であります。金魚を与えられる側ではなくなり与える側になったのであります。
自分が上回生になったならば、こんな悪しき伝統は壊してしまおうと思っておりました。
やっぱり俺は人格者や!
え?止めた?
んな訳ないでしょうよ!
2年間で15匹も成仏して頂いた金魚の霊を慰める為にもここで止めるわけにはいきません!
こんな日が来る事になるとは!
ひひひひ!
とてもお下劣な笑いを浮かべながら、その日が来るのを待っていたのです。
当日は出目金や、5センチ以上のデカイ金魚まで用意して、誰に与えてやろうかと考えておりました。
出目金はやり過ぎやろ!
あれとかオランダ獅子頭はNGやろ!
しかし、最終日にはポリバケツを真ん中に置いて儀式が始まりました。5センチ越えの金魚は用意して誰に飲ましたろかとか考えながら。
まぁ、楽しくて!嬉しくて!仕方ないのでございます。
「よし!オマエは2匹」
いひひひ!
下卑た笑いを響かせながら紙コップに金魚と日本酒を注ぎながら、
「早く飲みすぎると元気だから飲み難いし、永く漬けすぎると酔っ払って脱糞するから気持ち悪くて飲めないぞ!」
経験から来る豆知識をひけらかせながら配っていました。
悪夢はその後やって来ました。
バタン!
皆が音のする方向に注目すると
OBの先輩が現れました。
その先輩は私を見ると、
「おう!オマエも偉くなったもんやな!」
1番来て欲しくなかったA先輩が笑いながら入って来られました。
「ご無沙汰しております!」
その先輩はポリバケツの中を覗き込みながら、
「まずは、オマエが見本を見せなあかんやないか」
この人は何を言っておるんや?
中には5センチ越えのデカイ金魚が…
先輩は当然のように、それを網ですくって私の目の前に差し出します。
1年違えばご主人様と使用人程の差がある世界。
しかも、OBともなればその地位は神様に近いのであります。
何でよりによってこんな日に来るんや!とは口に出しては言えず。
これ以上は想像して下さい。
ちなみに、私達が卒業して5年ほど経ってこの金魚飲みは無くなったと聞きます。
こんな目にあってない先輩方は何で無くすんやとか言っていたそうですが、私はこの様な不幸な人間を作らない為にもよくぞ決断してくれたと思っている次第でございます。

