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wii / La farine

どうにもならないのに

 窓を後ろにベッドスペース向かって立てば、その正面の壁には絵がもうひとつ掛けられている。ベッドを挟むようにして備え付けられている両側の収納の後ろには壁との間にそれぞれ細いスペースがあり、そこに床から立てに5個ずつ電球が備えつけられている。スイッチをいれると、ちょうど枕元近くでこの10個の電球が光るため、寝不足で起きるのが辛い朝でも一遍で目が覚めるだろう。

 ベッドの左横にはトイレがある。トイレの扉のそばに向かい合わせるようにして洗面所とバスタブが設けられており、洗面所の壁全体とトイレの扉全体が鏡張りになっている。この空間の床は大理石のような石造りである。トイレと洗面所とバスタブそれぞれが濃いブルーで統一されており、床のグレーの大理石に良く合っている。

 部屋全体はあまり広くはないが、ひとりで住むには十分だ。狭いながらに、コンパクトにはまとめられている。そういえば洗濯機がないと思ったところで、フレデリックが洗濯機はこの多機能的テーブルの内側に内蔵されていると私に見せる。

 部屋の電灯は間接照明がメインである。ベッドスペースの照明の他には、洗面所の照明、キッチンを上から照らすスポットライト、そして机の上には物を書く際に重宝しそうな卓上ライトがある。キッチンと洗面所を隔てるのは一枚のにごりガラスになので洗面所の明かりをつければ、キッチンまで明かりが届く。

 部屋の中のステップを上って降りて移動するのは愉快だった。一部屋なのに、居間を入ったところが一階で、その2階にキッチンと洗濯機が、3階にベッドスペースに洗面所、バス、トイレがあるという様子で、一番奥まったバスタブや洗面所からベッドスペースを通って、キッチンまでやってき、居間まで降りてくるのは天井高が高くなっていくような錯覚がする。逆に居間から洗面所まで上がっていくと空間が縮まっていく気がする。

 面白い作りの部屋だと私は思った。こういう部屋は見たことがなかった。いや、本当はどこかで見たような気がするのだが、どこでだっただろう。そして、この部屋に住んだとしたら、どんな生活になるのだろうかと考えた。


  つづく