私が参加しているがんサロンでも、がん教育についてはよく話題に上がりますし、参加者の中には講師の依頼を受けて、実際に学校に出向いて話をしている方もいらっしゃいます。


先日その方とお茶コーヒーしたときにも「がん教育」の話題になりました。


私は小学生のうちから「がん」について学習することには賛成です。


個人的には英語やプログラミングよりも、ずっと大事ではないかと思っています。


何よりも大切な「健康」に関わることですし。


ただその方法を間違えると、せっかくの良い試みが、むしろやらない方が良かったと思えるほどの失敗に終わってしまう可能性もあります。


私の知る限り、「がん教育」事業の中で実際に児童・生徒に話をするのは、学校の教師・医師や看護師等医療関係者・患者です。


医療関係者や患者は毎日「がん」のことを考えて生活しています。


ですが学校の教師の皆さんはどうでしょう。


ご自身や身近な方ががんに罹ったことがある場合、その教師は恐らく色々な配慮を考えながら、皆の心に響く素晴らしい話をしてくれることが期待できます。


ですが、今までがんと全く縁が無く、ステレオタイプのがんのイメージしか持っていない教師が、「がん教育が始まるから」ということで資料を読んだだけで、果たしてどんな話ができるのか全く見当もつきません。


当たり障りの無い話だったらまだしも、子ども達に間違ったイメージを植え付けたり、傷付けたりしてしまう恐れもあります。


例えばですが、今までがんと接点がなかった教師が子ども達に話をする中で、
「がんは怖い病気です。なってしまったら辛い治療をして、それでも治らなくて死んでしまう人も多いんだよ。」
といった感じの説明をするとします。


その子ども達の中には、自分の家族にがん患者がいる子もいるかもしれません。


その子が先ほどの先生の話を聞いて、どんな気持ちになるでしょうか。


私は教師の批判をしているのではありません。


医療関係者や患者は、教師とは比較にならないほどがんに接しているのですから、差が生まれるのは当然のことです。


「がん教育」がカリキュラムに入ったから、とりあえずこなせばいいか、という考えの方が一人でもいると、付け焼き刃的知識や不用意な言葉で、誰かを傷付ける可能性が生まれます。


間違った若しくは歪んだ情報を与えるくらいなら、何もしない方がましです。


難しいことではありますが、大変デリケートなことですので、最大限の配慮をお願いしたいと思います。