北見市要約筆記奉仕員公開研修会(主催:オホーツク要約筆記サークル)@北見市立中央図書館

でお話しを聞かせていただきました。

 

司会者の中西裕美さん(同サークル北見班班長)

・手話は(きこえないひと、きこえにくいひと)すべてのひとが使えるわけではない

・北見市、網走市に続き、オホーツク管内すべての地域で要約筆記奉仕員派遣制度を実現し、きこえないひと、と、きこえにくいひとが支援を受けられる社会を目指している

・奉仕員になるために、わたしたちは84時間の研修にのぞんでいる

 

また、

・要約筆記者の倫理綱領

「すべての人が個人として尊重される社会をめざす」

「国民一人ひとりの権利擁護の観点から、コミュニケーション支援として質の高いサービスを提供できる専門職に」などを綱領全文を引用され、きょうの(公開)研修を知ってもらい支援が広がることをのぞまれていました。



 

講演は3つ

◯『災害時における中途難失聴者への要約筆記と支援体制』

オホーツク要約筆記サークル会長 斉藤幸喜さん

 

→要約筆記の三原則や全国、北見市の聴覚ほか障がい者手帳交付数などの実態。東日本大震災、胆振東部地震、最近の能登半島地震などの事例を紹介し、震災により障がい者が亡くなられる率が全体の約2倍であること、情報の壁やコミュニケーションの壁が理由でもあることも紹介。


「環境のバリアフリー」「心のバリアフリー」で誰でも等しく生活でき、全員参加型で「障がいだからできない」ことがない社会の実現の必要性を語りました。

 

環境のバリアフリーから

→手話通訳や要約筆記がない講演会や音声だけのアナウンス(文化や情報面のバリア)


心のバリアフリーから

→自分とは違う状況にある人とのコミュニケーションができる力を身につけることや、困り事や苦しみを理解する心を持つこと

 

講演②『難聴者(私)の日常』

北海道中途難失聴協会オホーツク支部

支部長 岩渕聖司さん

 

ご自身の子どもの頃からの歩み、聴覚の明瞭度、ひとが話す声が聖司さんにはどのように聞こえるのか、など生活の実態、実感をお話されていました。

印象的なことば

・中途で聞こえなくなった場合、少し聞こえる状態で日本語で育ったひとは手話ができないひとが多い

・手話は英語を覚えるほど難しいと感じている

・会議などは「要約筆記」がいい

・病院等は妻がついてきてくれる。医師の中にには小さな声で早口の方もいる。最初に病院に行くときは同行者が必要だ

・ある薬局で薬剤師が首から「耳マーク」をぶら下げてくれていた。嬉しかった

・コンビニは面倒なので(聞き取れなくても)適当に返事することがある

・補聴器の電池がスーパーやコンビニで買えたら助かる(海外ならそういった場所で売っている)

・障がい者の就業状況に自分自身が思うこと。ただ、弁護士や薬剤師に「ろうあ者」がいることが素晴らしく思う。

・避難所に電池や筆談ボードがあると助かる。

・外見ではわかりにくい障がい。聞こえなく避難所でご飯がもらえないことを考えると情報を紙に貼って伝えることや、個別に情報を伝えることも必要では

・聞こえるか、聞こえないかを避難者受付で記入出来て、担当者が確認できるようにしてほしい

 

 

講演②『中途難失聴者の妻と要約筆記』

オホーツク要約筆記サークル事務局長 岩渕倫実さん


夫の聖司さんと手話サークルで知り合ったことなど、これまでのご自身の歩みや北海道中途難失聴協会オホーツク支部の設立までの経緯から話されました。


・支部設立にサポートしてくれた他地域の団体、協力的だった行政職員のお話(オホーツク管内には団体がない、また当時、要約筆記者派遣制度がある自治体が管内になかった)


・聖司さんとの、またお子さんを介して家族とのコミュニケーション。「LINE」なども多く活用していること。補聴器にあるBluetooth機能を活用し「LINE」が届いたことがわかるなど


・外出先で騒音などがあるときは簡単な手話をすることがある


・障害者自立支援法と市町村の役割として要約筆記者派遣事業があることは当然のことと考えられる。北見市、網走市に続き、管内他市町村でも実現したい、してほしい。もしそこにひとりでも当事者がいれば、事業がありサービスが受けられなくてはならないと思う


・病院や葬儀など、スマートフォンではなく筆記の場合が良い場合などシュチュエーションによって様々


・文字で読みたい当事者の読むスピードもそれぞれ、手のひらに書くように説明してあげても手の感覚で受けるには神経がすり減るから単語だけで伝えて欲しいというひともいる。


・要はその人に合ったカタチで伝える大切さ


・要約筆記も一人一人に合った方法、でも統一したカタチも必要ではないかということ

 

最後に司会者さんが、

「コミュケーションの秘訣は受け手側が決める」という言葉を引用し紹介していました。

 


(感想)

講演者のお話やご主張を聞かせていただき、あらためて勉強になったことはたくさんあるのですが、政治家として最も大きく受け止めたのは、

岩渕倫実さんが、法の趣旨に則っても全ての自治体に要約筆記者派遣制度がないことがおかしい、実現したいといった主旨のご発言をされたことです。

本来はそれを実現しなくてはならないのは、当事者や当事者家族より、政治家でありマジョリティ側が積極的に考えなくてはなりません。


LGBTQ施策を例にあげます。

私自身パートナーシップ制度を、ただ北見市に作ってもらうだけでなく、他自治体との同制度を連携協定を結ぶことの必要性。

パートナーシップを結んだ方々が北見市から他のまちに行っても不自由のないようにしたい。それが「制度連携」も、「制度制定」と同時にしていくというわたしのこだわりでした。


本来、パートナーシップ制度も極論を言えば、国が同性婚を認めれば、基礎自治体が制度を作らなくてもいいという理屈になるし、道(北海道)が制度を行えば全道民を広くカバーできる。

だけど、現実そうはなっていないから、北見市の制定と同時にまず札幌市との連携をする。この連携を広げれば満足ではないけど、少しだけカバーできることがある。

このこと(制度の連携)を北見市長に対し、議員として譲らなかった。という考えでした。

 

要約筆記者派遣制度は法に基づいた市町村義務と考えますが、それでもオホーツク管内では北見市と網走市にしかない。

この現状を思うと、制度がない他自治体の議員に対し、わたしも議員の立場から「そちらの議会でも取り上げてくれないか」ということはできる。

 

そして、パートナーシップ制度の自治体間連携が、北見市民が違うまちに行っても、よそのまちから北見市民になっても、市民に不自由がなく負担が軽減されることを目標に取り組んできたという視点をおなじように考えれば、


例えば、リアルに北見市にいる難聴者などの生活を考えれば、北見市で要約筆記者の支援を受けても、違う街に行けば支援を受けられなくなる可能性がある。

ならば、パートナーシップ制度と同様、北見市民が他のまちに引っ越しても、あるいは他のまちに外出しても、当事者が活動しやすい環境を整える責任が私にあるなと思いました。

 

昨年4月に北見市、同年5月に網走市でも始まった要約筆記者派遣制度。

この両市においても要約筆記奉仕員を増やすため、利用しやすい体制のために、私も北見市の議員として何ができるのか。

もっと考えていかなくてはならない責任があります。

大変勉強になりました。



(24.3.4北海道新聞オホーツク面 有料媒体のため記事途中から、当方で画像処理を加えています)



(先月からセブンイレブンにも、耳マークなどがレジに用意されましたね)