北海道新聞による報道、バス事業者の広告の通り、ドリーミントオホーツク号の留辺蘂停留所設置(21日から)がご案内されているところですが、ここに至るまでの経過と、まだある政策的課題について、書ける範囲でお知らせしたいと思います。

 

30年に渡る留辺蘂地域のみなさんのご要望があった中、地元住民期成会によるバス事業者(地元共同3社、本州資本1社)への直接要請などが停留所設置に結びつきました。

まずもって期成会のみなさまの行動に敬意を表します。

 

以前、留辺蘂に在住していた私は、個々のそのご要望もお聞きしていましたし、当時私が札幌までの都市間バスを利用するに際し「なぜ札幌にバスで行くのに、札幌と逆方向に20km以上離れた北見バスターミナルまで行き、今度はまた留辺蘂地域を通過して札幌に向かうのか」という「生活の実感」がありました。

 

バス会社にも「事情」があるだろうと、私が思いつく課題を整理し、地元北海道北見バスとの交渉にのぞみました。

バス会社に勤める労働組合のみなさんには普段からご支持をいただいています。同時に運転手のみなさんなど組合執行部の方々にもご意見を伺ってきました。

 

【課題の整理】

当時、私が考えた課題を一部紹介します。


 北海道北見バスだけでなく、共同運行する網走バス、北海道中央バスの同意を得られるか。


 安全性を確保できる停留所が設置できるか。


 冬季の悪天候時に、道東自動車道経由にルート変更した場合を考慮した、停留所設置は可能か。


 北見から乗車する利用者の、札幌までの速達性に影響を及ぼさないようにできるか。

 

などです。


【急に早まったきっかけ】

転機は、北海道北見バスが現社長に交代された時からでした。

同社の名誉のためにあえて申し上げると、同社は留辺蘂停留所設置要望に応えなくてはならないと以前より考えていました。

問題は、具体的にいつできるのかです。

 

社長に私はこう申し上げました。


「全国どのバス事業者もコロナ禍の影響を受けて、路線と経営の維持は大変なことと思います。地域住民の生活の足を守るために、これまで同様、金銭面含めた市の支援は必要との考えに私は変わりません。しかしながら多額の税金を投入している事実もある中で、市民に地元交通事業者の、より高い公共性を理解していただくためには、同業他社より先に留辺蘂停留所スタートを決断し地元企業の優位性を示すことが大切だと思っています」。


社長は、このことに対し、地元交通事業者としてこれまで以上に地域のために、そして市民のみなさんに愛される企業を目指すお考えについて熱弁で応えてくださいました。


この私の考えについては、市議会本会議でも発言しました。

 

社長はじめ同社社員のみなさんは地元期成会要望に対応するなどと並行して、国土交通省や市とのやり取りに急いで準備を進められ、2月1日のスタートまで漕ぎ着けました。

 

【留辺蘂停留所がなぜあの場所か】

このことは③にありますように、悪天で石北峠が通過できない際、道東自動車道経由に急遽ルート変更する際、迂回するには迂回する交差点より前に位停留所を設置する必要があるからです。

温根湯地域のみなさんなどにはご不便をおかけしますが、ご理解いただきたいと思います。

 

さらには、④の速達性への影響を考えれば、既存ルート上に停留所を設置しなくてはならないという現実もありました。

 

【今後の政策的課題について】


 停留所と駐車場の位置と待合スペース

添付した北海道北見バスの広告下段の地図をご覧ください。



まず、北見市が留辺蘂住民交流センターの駐車場一部を、都市間バス利用者を含め、広く市民の利便性向上のため一部開放の決定をしたことを評価します。


しかし、この停留所からバス停までは500mほどあります。

これを近づけることができないか。


画像地図上の「パーク&ライド駐車場」の上に、土地勘のある方ならわかると思いますが、車を一時停車し休憩できるような「もう一つの駐車スペース」があります。ここに停留所を移動することができれば、より利便性が向上するし、待合スペース(小屋)を設置し、バスを待つ留辺蘂地域の人が雨風、雪をしのぐことができる。


ですが、この「もう一つの駐車スペース」の活用が難題です。土地所有者が3者に分かれているのです。調べると「財務省」「農林水産省」「北見市」と3社になっているのです。


ここにバスを停車して乗降するにしても、バスがバス会社以外の所有者の土地を通過するわけですから、北見市がOKと言っても、財務省や農林水産省が「はい」と言わなければ、できないのです。


北見市に対して、それぞれの省庁に掛け合うよう私から要望しています。


  完全予約制の都市間バスのチケットをどうやって買うか


留辺蘂地域にお住まいの方が、完全予約制のチケットをどう買うか。

広告にありますように、ネット上などのほかの対面販売は、遠く離れた北見バスターミナルになります。


留辺蘂地域の高齢化率は50%を超えています。

スマートフォンなどの普及率は高齢者にとっても進んでいますが、やはりスマートフォンやパソコンが得てでない方は一定程度いらっしゃいます。


現実的には対面以外のチケット購入に頼る場合、得てでない方は知人や同居の方に頼む人がいると思います。


対面販売を留辺蘂地域で行うには、システム増強や、人件費などの問題も出てくることから大きな課題が想定されますが、そこに携帯電話会社や町内会などで実施するようなスマートフォン講座のように、どうやったらネットでチケットが買えるかの講座を企業側として、これまで「バスの乗り方教室」などと並行してやっていく必要があるかも知れません。

 

【むすび】

いずれにしましても、私にとって公共交通政策は、LGBTQなど人権政策と同じく重要な柱の一つです。

一般路線バス、JR線の維持も課題ですし、それぞれ住み慣れた場所で住み続けられる環境整備は政治の責任と考えています

引き続き、市や交通事業者への要望や提案を継続してまいります。


昨日(1月20日)の北海道新聞オホーツク面 留辺蘂停留所の記事。右に女満別空港にかかる記事がありますが、航空路線の充実と、バスやJRの連携も課題です。