GSX250Eに乗っていた。
よく転けたしよく捕まった。
山のワインディングを攻めたりしてもいたが、当時出た最新鋭のヤマハRZ250には全く歯が立たなかった。
まあ、当時のGSX 250Eは悪いバイクではなかったが、そこまで速くもなかったし何よりバイクの乗り方が全くワシにはわからなかった。
とりあえずバイク雑誌を見ながら見よう見まねでハングオンしたりしてはいたが、とにかくなんの理論的根拠もなく走っていた。
26の時CBR400Fに乗っていた。
その頃のバイク友達に片山敬済(かたやまたかずみ).の本を紹介されて読んだ。
そこにはそれまでワシの知らなかった数々のバイクの構造から起きる挙動の特性とその利用法などが書かれてあった。
衝撃的だった。
時は1980年代中頃、まだスペンサーやらガードナーやらが現役の頃だ。
ワシにとっては画期的で、バイクとはこうやって乗るのか!と初めて教えられた。
すぐに試してみた。
簡単にできるはずはない、最初は全然分からなかった。
続けているとだんだんと違いがわかってくるようになった。
面白くなる。
それから事情があって長いことバイクには乗れなかった。
糖尿病からの壊疽で右足を失った。
そしてつい最近、またバイクに乗れるようになった。嬉しかった。
この長いブランクの間にバイクの進化はとんでもなく進んでいた!
当然、80年代の理論は時代遅れだろう、ドリフトが当たり前になっているくらいだから。
エンジンの出力性能や車体・サスペンション、タイヤの進化が走りの理論を更に発展させていると思った。
ワシの乗り方の古さに一時はガッカリもしたが二輪の基本的な挙動特性は変わらないし、今の理論には追い付かないが昔の乗り方でもそこそこ走れる事がわかったので、ワシは無理せずワシの乗り方でコーナーを攻めることにした。
心から憧れ目指してる先の人に出会い、もしその人のもとで学べたらどんなに嬉しいだろう。
ワシは本でしか出会えなかったが、出会った人の気持ちは涙が出るほど分かる。
羨ましい限りだ…