僕らの街にユニクロがやってきたのはかれこれ15,6年位前になるだろうか。
当時の僕たちのおしゃれな店といったらマックハウス。
その当時、僕らの間でユニクロはユニーク・クロージングの略らしいと噂が飛び交っていた。
当たりである。
ユニーク・クロージングは僕らの低レベルな英語力で「面白い服」と訳され、多少なりとも馬鹿にされていた。
そしてそのユニクロへはまだ誰も行ったことがなかった。
中学3年のとある日、おしゃれと称されてたヤツが学ランの中にラガーシャツを着てきた。
おしゃれを完全にはき違えてた僕らは生で見たこともないラガーシャツをよってたかって馬鹿にした。
そしたらそのラガーシャツの友はおもむろにシャツを脱ぎ出し、ゴミ箱にシャツを捨てたのだ。
完全に気まずい空気。
そのえもいわれぬ空気の中、ラガーシャツを馬鹿にしていた一人のクラスメイトが口を開いた。
「捨てるならちょうだい。」
えー!超馬鹿にしてたのにー!!
彼はゴミ箱からシャツを取り出すと、いきなり全力で袖口を広げ始めた。
さっきまで手首にフィットしていたラガーシャツの袖口は原形をとどめない程びろんびろん。
そして次に彼が取った行動は、びろんびろんに伸びきった袖口をいきなり坊主頭の野球部員にかぶせたのだ。
ラガーシャツの袖により野球部員の視界はゼロ。
彼は視界ゼロの野球部員の頭部を「ハゲ~ハゲ~」と連呼しながらペチペチ叩き始めた。
なんだこの光景。
叩く彼ともだえる野球部員を僕らはただ呆然と見つめていた。
5分後
その野球部員が隣りのクラスの野球部員を捕まえて同じことやってました。
僕ら5組だったんですけどクラスを移るたびに人数が増え、最終的には大人数で1組まで行ってました。
新しい爆笑ゲームの誕生です。
しかしそのゲームも長くはもちませんでした。
調子に乗りまくった僕らが行きついたターゲットは生徒指導の先生でした。
最後にちょこっとだけギャラリーで参加しただけのヤツが視界ゼロの先生に見事ひっ捕らえられ逆ボコボコ。
ゲームは悲しくもそこでTHE・END。
説明がずいぶん長くなりましたが、こんな奴らの中に「面白い服」と馬鹿にされていたユニクロの服を着ていけるでしょうか?
無理です、はい。
みんなもそう思ったのでしょう。
あの日から卒業するまで誰の口からもユニクロという言葉を聞くことはありませんでした。
店の前で初めて写メ撮っちゃったよ。
そうです、今では完全にユニクロの虜です。
今日ユニクロで買い物してたら、ふと淡い青春の1ページを思い出したので書いてみました。
はい、みなさん!
こんな夜中にくだらなく長い文章にお付き合い頂き、誠にありがとうございましたー!!