あらすじ
大晦日の夜。連続無差別殺人事件の唯一の生存者、梢絵を囲んで推理集団“恋謎会”の面々が集まった。四年前、彼女はなぜ襲われたのか。犯人は今どこにいるのか。ミステリ作家や元刑事などのメンバーが、さまざまな推理を繰り広げるが…。ロジックの名手がつきつける衝撃の本格ミステリ、初の文庫化。
(byアマゾンのページ)
※以下ネタばれあり!!
梢絵の身に起こった謎を解こうと、少な~い情報をもとに恋謎会のメンバー達がああでもないこうでもないと議論を重ねることで物語は展開する。
序盤は、
“こんなに少ない情報からそんなことを読み解くのか!”
と、推理小説を読みながら読者が考えているような内容が文章化されているようで興奮しながら読んでいたが、
1人が推理する→新しい証拠が出てくる→また推理する
の繰り返しなので、恋謎会のメンバーが推理を展開している部分を読んでいても
“どうせまた新しい証拠が出てくるんだろ…”
と思って読んでしまう。
誤ったデータの上に成り立った推論など、根拠となるデータが間違っているのだから、帰結部分も違うのは当たり前。ただの邪推。
かのシャーロック・ホームズの名言にもあるとおりだが「粘土がなければレンガは作れない」のだから、恋謎会のメンバーは、まず粘土集めをしっかりしたほうが良かったのでは…
最後に確かに大どんでん返しがあるが、それが最大の問題。
犯人の動機をさぐるため、「自分の首を紐で自分で締め、ダンベルで自分の頭を殴る」という一連の動きをやってのけたと言っているが、この点に無理がありすぎる。
閉鎖空間にいて素人が実況見分を行ったならともかく、殺人事件(未遂だが)を調査した警察・鑑識が実況見分を行った場合「自分がやったか他人にやられたか」の判断を間違うはずがない。
このような手法が簡単にできるのなら、世の中の生命保険会社の全てが倒産の危機だろう。
『他殺に見せかけた自殺』『自殺に見せかけた他殺』をのトリックで1冊の本が書けるだろうに、そこの部分には全く何も触れていない。
「最後にあっと言わせる展開」ではあるものの、推理小説の一トリックとしてこのような手法を用いるのはどうなんだろうか。確かにあっ!と思ったが…
読んでよかった度 :☆
もう一回読みたい度:
推理小説風ホラー小説度:☆☆☆☆☆