「親孝行だね」

と言われることが、ときどきあります。

 

私は、高校3年間ずっと特待生だったので、

入学金も学費も免除でした。

 

大学受験の費用も、高校が一部負担してくれました。

 

塾にも通わず、独学で国立大学に合格し、

奨学金制度を使っていて、大学の学費も免除されています。

 

私は、母子家庭で育ち、

母は女で1つで私を育ててくれました。

 

 

このような話をすると、

「親孝行だね」と言われます。

 

確かに、世間的に見たらそうなのかもしれませんが、

 

私自身は別に、親孝行のつもりでしたことではないので、

しっくりこないことがあります。

 

そもそも、家族仲は悪いほうだと、私は思っているので、

親に恩返ししたい、とは思っていません。

 

世間体を保つために、必要があれば

最低限のことはするつもりですが、

 

特別に何かしてあげたい、とは思えないのです。

 

 

母はよく私に、

「お前が何かしたら私の責任になるんだ」

と言っていました。

 

「金を払っているのは私なんだから、私の言うことを聞け」

 

「私がダメな親だと思われるだろうが」

 

こんなことばかり言われていました。

 

母にとっては、私は所有物だったし、

 

母は、決して私を大切に思っていたわけではなく、

世間体を保つために、普通の親らしいことをしていただけ。

 

だから、母に頼りたくなかったのです。

 

 

母と距離を置きたくて、自立を急いだ結果、

親孝行だと言われるなんて、皮肉なものだと思います。

 

とはいえ、少し思うことがあります。

 

私は、別に母を憎んでいるというわけではありません。

 

なんせ、お互いにたった1人の家族だし、

母の苦労も理解はできるので。

 

とはいえ、あんな風に言われたら私も傷つきます。

だから、母と関わりたくなかったのです。

 

母から自立さえすれば、もうあんな風に言われない。

 

そうなれば、もう少し健全な関係に変われるのではないか、

と今は思っています。

 

実際、1週間ほど帰省したときには、

1度も喧嘩せず、怒られもしませんでした。

 

実家暮らしだった頃は、

1週間も怒られないなんてことはなかったので、

 

何かが変わったんだな、と感じました。

 

これから、母への嫌悪が薄れていけば、

 

「親孝行だね」という言葉を、

もう少し素直に受け入れられるようになるかもしれない、と思っています。