1/2(火)
さて、昨日と一昨日でイスタンブールのメインの見どころは押さえてしまった。
あと行くとすれば、定番どころだとボスポラス海峡クルーズだったりアジアサイドに渡ってみることだったりする。
さあ今日は何をしようかというところだったが、ここ数日で感じていたのは、

なんか、久しぶりにトルコを歩くと、ただただ楽しい。
街にほんのりと漂う香水の香り、この時期の地中海の薄曇りの空模様、
冬の弱々しい日光に照らされる町並み、
時にかなり西欧的で、ときにトルコを色濃く感じる町並み、

ただ街を歩き、トルコの成分を摂取しているだけで楽しい。

逆に一つの観光名所の長い列は今回のアヤソフィアとトプカプ宮殿で懲りた。

ということで、今日はあまり旅行者が行かなそうなエリアを歩くことにした。



まずは腹ごしらえにトルコスタイルの朝食。
トルコスタイルの朝食はチーズ、ハム、オリーブ、トマトなどの具材とパンとチャイ、そしてなぜか必ずゆで卵が一つ出てくるのだが、
パンは基本食べ放題のため、ガッツリいくことも可能である。
日本の旅館の朝ご飯のように複数のものを少しずつ食べることができてちょっとお得感を感じる。
と同時に、牛丼屋で出る朝定食に異様なほどのコスパ感を感じてしまう。
そんな朝飯をエンジョイしていると、今朝もまた来た、ネコチャン。



今朝のネコチャンはアグレッシブで、俺が何度抑え込もうとしても「食わせろニャー!」と鳴きわめく。
やれやれと笑って対処をしていると、レストランの店員が猫よけスプレーを持ってきて噴射。

が、あまり効果がないらしく、少しするとすぐまた戻ってくるのだった。

やれやれ。

まあ、今回の旅行記ブログの猫に関する記述の文字数が数えてみるとすごいことになってそう。

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旧市街を行くあてもなく歩いていると、初日はクローズしていたグランドバザールが今日は開いていた。


このバザールは旧市街にあるもう一つの旧市街のバザール、エジプシャンバザールよりも広大なアーケード街で、
一通りのお土産は全部揃いそうだ。
また、他のお土産屋さんなどに比べると一回りふた回り作りがしっかりしているものが売られている印象がある。
バザールは細かく枝分かれしており店もかなりの数だ。
好きな人は半日見て回ってようやく満足できるくらいのスケールのでかさを感じる。
まあ、イスタンブール3日目となるとさすがにお土産屋を冷やかすのは食傷気味で、通り抜けるようにしてグランドバザールを出た。

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次は、移民街があるというゼイティンブルヌという旧市街から西に行った地区に行くことにした。

ここに関してはあまり情報がないのだが、グーグルマップで検索をかけてみると、このエリアになかなかの数のアフガン料理店がリストアップされるので、どんな街なのか時間があれば見てみたいと思っていた。

つまり、おそらくは移民街だからその姿を見てみたい。
異国の移民街に興味を持ったのはいつからだろう。
バンコクの移民街が強烈に印象的だったからかもしれないし、
自分自身異国の地で移民だった経験があるからかもしれないし、
なんなら今だって東京でちょっとした移民的アイデンティティを抱えていたりする。

で、そんなゼイティンブルヌだが、歩くと結構道のりがあり、もし「ハズレ」だったらを考えて、鉄道で行くことにした。

イスタンブールの市内を走る電車はかつてトークン式だった記憶があるのだが、今はイスタンブールカードというプリペイド式のカードを使うようになっている。
自分が日本で交通系ICカードを持つようになったんだから、まあ、大都会イスタンブールでもそうなりますわなあ(遠目)
ちなみに、イスタンブールカードは日本の交通系ICカードの「タッチすると即ピッ!」のあの素晴らしいレスポンスではなく、少し間を開けて反応する。
日本の交通系ICカードは日本のヘビーな乗降者数に対応すべく生まれた、とんでもない化け物であることを改めて感じた。

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で、ゼイティンブルヌだが。
大通りが結構栄えており、小道に入るとローカルのバザールがあるといった感じの郊外の風景となっており、
移民街というよりは普通の郊外だ。
そんな街を歩いていると見つかったのは一軒のアフガンレストランと、一軒のウズベキスタン風ナン屋のみだった。



もしかしたらバンコクのソイアラブのようにコテコテの移民街を形成しているのかと想像していたが、そんなんでもなく、
イスタンブールの郊外を垣間見たという感じだった。

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ゼイティンブルヌを見たあとは電車で一旦街に戻り、今度は金角湾沿いにあるキリスト教会に行くことにした。

オスマン帝国時代に宗教的寛容政策をとっていたため、キリスト教会もユダヤ教のシナゴーグもあるのがこの街なのだが、その中でも評判が良さげなのが、金角湾沿(つまり旧市街近辺)いにある聖ゲルギオス大聖堂だ。

こちらの建物は金角湾沿いの大通りをしばらく進んだ先にあるため、味気ない大通りをスキップするためにトラムに乗って行くことにした。


イスタンブールは街中をトラムが走る街なのだが、久しぶりにトラムが街を走る姿を目にし、
歩道と車道が分かれきっていないがゆえの人々と街とトラムが一体になっている感がとても気に入っている。

そんなトラムはチャリと同じくらいしかスピードが出ないのだが、そこで気づいた。
イスタンブールの人って自転車にあまり乗っていない。
坂の町なのだから自転車に不向きなのはそのとおりだが、
特に旧市街は自転車を使うことを前提とした街となっていないし、車両通行が不可能な通りが多い。
だからトラムが街で活躍する。
当たり前っちゃ当たり前の話なのだが、トラムの街を歩くのが久しぶりすぎて、そこら辺の思考回路が鈍っている。

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で、到着した聖ゲルギオス大聖堂。
近隣のエリアは数件旅行者を目当てとしたお店が軒を連ねており、割と人気があるようだ。




大聖堂に入ると、東方正教会特有の厳かさに背筋がピンとなる思いがする。
そうだ、この厳粛さが東方正教会だ。
教会内は思ったほどの大きさはなかったものの、装飾やイコンなどは完全にガチなもので、
現在カーリエ博物館が閉館中であることを考えると、この街で味わえるキリスト教成分が十分に摂取できた。

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街の中心部に戻ってくると、パラパラと雨が降ってきた。
冬の地中海の雨。
学校で地理を勉強した時に「地中海は冬に多雨」と習う気候のそれだ。
今回の滞在を通して概ね好天に恵まれており、常にちょっと薄曇りだなあ程度にしか空模様を感じていなかったが、ついに本降りの雨が来そうだ。

まあ、大体満足できるくらい歩いたしということで、レストランに駆け込み本日もメゼをば。
さらに今回は、ケバブをば。


今回の滞在でトルコのレストランの物価の上がり方にげんなりし、肉料理は安く仕上げてきたが、明日で帰るしせっかくだから食べておきたい。

で、食べた感想。
たしかに旨い。
日本でしばらく食べていなかった羊肉をムシャムシャと食べる快感よ。。。
そして思う。
肉はどこまでいっても肉で、普段から世界的に見てかなりのクオリティに入る肉を日本で食べていると、肉に対する感動が今ひとつ薄い。。。

トルコにかぎらず、ケバブの類って味の計算ができてしまうというか、多少のスパイス・ハーブにバリエーションがあれど、口に入れた時に

「うん、塩味の肉だ」

と、頭が反応してしまうのだ。

決してケバブはまずかったわけではないし美味しかったけど、初めてトルコ料理を食べたときと変わらぬ自分の舌を実感した。

で。
レストランでケバブをかじりながらビールを飲んでいるといよいよ本降りになってきた。

これは本日ゲームセットかな。
むやみに歩いて靴を濡らすと、明日以降靴から異臭が漂ってしまう。

すぐ近くのホテルへと戻り、その雨模様を眺めながら過ごすのだった。