7/11(月)

今日はここコラートからバイクで一時間ちょっとのところにある、ワットバーンライという寺院に行く日だ。
ワットバーンライとはタイの高僧ルアンポークンという人が2011年に建てた割と新しめの寺で、
後々写真を載せるが、映えるスポットらしいのだ。
グーグルマップのレビューでは、「ここに来ないとコラートに来たことにならない」など、ちょっと誇張じゃねえかと思わせる賛美の声も挙がっている。
そんなワットバーンライには、街で唯一のレンタルバイク屋からバイクを借りて行くこととなる。
そうでなければタクシーで往復1000バーツくらいかかるだろう。
話が横道にずれるが、どうしても地方の旅行となると車やバイクで行かないといけないほど遠くに見どころがあることがほとんどだ。
それでもタイは外国人へのバイクの貸し出しが免許の提示なしに行われているということで、奇跡的に便利に目的地まで移動できてしまう。
もちろん、無免許での運転は法律上は白か黒かでいうと黒なのだろうが、
実務上は白ときどき黒みたいなまだらになっている。
バンコク、チェンマイ、パタヤでは外国人の無免許運転に関してはネズミ捕りを行っており、俺も一度チェンマイで警察のお世話になり、罰金を献上している。
一方ここコラートでは外国人の姿は全く見られず、外国人の無免許運転を取り締まっているよりは現地人のノーヘルを取り締ってたほうが相当コスパが良いだろう。
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で。
朝8時半にスタートしたワットバーンライまでのツーリングだが、さすがタイ第二の規模を誇る人口を誇るだけあって、市内の中心部は朝の通勤通学のラッシュでなかなかに忙しない。
休職期間が長かった俺は正直その忙しさについていけていない。
まあ、そんな市内中心部を抜けるとあっという間にまた昨日のツーリングでも見たような地方の田園風景に変わった。
ワットバーンライまでの道順はそれほど複雑ではなくかなり直線的で変化に乏しく、グーグルマップの「この先、20km道なりです」という案内には「マジすか」と突っ込んでしまった。

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到着したワットバーンライは小さな集落の中にあった。
門をくぐり抜けて奥へと入ると、お目当てのお堂が見えた。
まず巨大な像の顔と、お堂全体の全体的な極彩色に圧倒される。
なんだこのLSDをキメたかのようなサイケデリック感は。






で、お堂に近づいてよく見てみると、タイル片を用いたモザイクで細やかな色彩を出していることが分かる。
また、お堂の外壁はインド神話かsomething like thisなエピソードと思しきものが様々なタッチで描かれている。
単なる映えスポットというよりかは、ちゃんとインド神話や仏教を勉強してきた人の方が楽しめるスポットなのかもしれない。
いやいや、それにしても圧倒的存在感だ。
宗教のプロモーションとして色彩や模様を工夫してきたというのは洋の東西を問わず行われてきたが、それの21世紀版がこれで、建立が2011年とのことなので「映え」のトレンドを先取りしていたのかもしれない。
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コラートに戻ってきたのは正午手前。
まだ市内を観光するには十分すぎる時間がある。
しかし、このイサーンの玄関口といわれるコラート、さしたる見どころがないのだ。
バスで1時間のところにピマーイという遺跡があるが、昨日見た遺跡よりコンパクトとのことで行く気力が起きない。
ひとまずヘルメットをかぶってぺしゃんこになった髪を戻すため、宿に一旦帰ることにした。
今回巡ったイサーンのどの街もそうだし、過去に巡ったタイ北部の度の街もそうだったけど、
観光大国タイといえどもせかせかと観光スポットを転々と移動するほどの見どころは実はないし、
それほど心の琴線が震えることのない観光スポットを忙しく移動しているよりも、なんかのんびりしている街の雰囲気に共鳴するように自分ものんびりと、いや、だらりと過ごすのが丁度いい。
リゾート地で何もしないで過ごすということがとても苦手な俺なのだが、タイの田舎でだらーんと歩くのは非常に性に合っている。
たぶん、タイの田舎が俺にとってのリゾートなのだろう。
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ホテルに帰ってからしばしベランダで風に当たりダラダラとしたあと、今度はランニングがてらまだ歩いていない市街を巡ることにした。
ナコンラチャシマー駅から南にやや大きい池を囲むように公園があり、そこからちょっと走るとジムがある。
そしてそこから旧市街に向かうと、だいたい日課にしている距離を走ることになる。
大体のルートを決めて走り出したが、午後の一番暑い時間帯だけあって蒸し暑い。
ヤンゴンに住んでた頃、雨季の晴れ間の蒸し暑さには早く曇ってほしいと願ったものだが、
イサーンの雨季も同じく蒸し暑く、しかも内陸に位置しているので雨が少なく、まるで真夏の日本晴れのような蒸し暑さがしばらく続く。
近くでスコールが起こるとスコールと一緒に降りてきた冷たいそよ風が心地よいのだが、この日は空を見渡しても直近一時間やそこらで雨が近くで降りそうな様子は全く無い。
そんな中で旧市街から南西に進んだ市街地を走っていると、バンコクでも見たようなソイ(小道)が網の目のように張り巡らされているエリアに出た。
自分はバンコクのソイが好きで、人々の生活音や生活感が感じられる上、大通りよりも圧倒的にのんびりしているのだ。
そういう風情の点で、ソイは小道と訳するよりも、京都の小路(こーじ)と訳したほうがしっくりくるかもしれない。




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で、ランニングコースの終着点、旧市街にあるワットパーヤップに到着した。
ワットパーヤップはなかなかに広い境内を持つ由緒正しいお寺なのだが、その中でもオリジナリティがあるのが、修行のために鍾乳洞から鍾乳石をかき集めて作った、まるで洞窟のような間があることだ。




たしかにこのような間があれば、平地のコラートにいながらにして山籠りをしているときのような精神状態に持っていけるかもしれない。
ということで、ランニングを兼ねた市内観光が終わった。
ランナー目線になると歩行者目線よりも街の道の作りに対してシビアな目になるのだが、
この街はバイクがあること前提の街づくりをしているためか、極端に歩道が狭い。
しかもその上路駐が許可されているので、どうしてもランニングするとなるとバイクが走るレーンとバッティングしてしまう。
これはコラートに限ったことではなく、ナンロンでもウボンでもそうだった。
「ランニングしやすい街は都会」という説を勝手に唱えている俺としては、今回訪れたイサーンのどの街もまあまあ田舎だ。