自分が最低だって分かってる。
けど、何故だかねるを裏切りたくなった。




ねる:てっちゃん…?その人、誰?


平手:彼女。


ねる:でも、私は?!


平手:あのさ〜…ねる。私、飽きたんだよ。


ねる:っ!!!



飽きた と伝えると、目に涙を溜めながら
部屋を出て行った。




女:ねぇ…友梨奈。良かったの?


平手:…なにが。


女:そんな顔するなら、こんなことしなければ良いのに。




そんな顔って、どんな顔だし。

なんだかイラついて、うるさい女の口を塞いだ。

 

それからも、私は空いた穴を埋めるように、
知らない奴と体を重ねた。



どんなに肉体がボロボロになっても、
私は私だから。







平手:ん…。



目を覚ますと、自分の部屋のベッドにいた。


何でここにいるんだっけ。
あ、昨日連れ込んだんだった。
あれ、相手の女は?



まぁ、いいか。
とにかくお腹すいた。






平手:…ごはん、食べるか。




重たい体をなんとか起き上がらせて、
私はキッチンに立つ。




平手:あ、私、料理出来ないんだった、




キッチンに立ってみて思い出した。
いつも、家でどうやってご飯食べてたっけ。



朝起きると、

「おはよう」という言葉とともに
出てくる温かいご飯。


すごい美味しかったんだっけ。



けど、想い出に浸ってる時間なんて私にはない。

朝ごはんは後にして、顔を洗おうと思って
洗面所に向かった。




平手:うわ…髪の毛めっちゃ伸びてる。



鏡を見る機会が、あまり無かったから
髪が伸びたことに気づかなかったんだ。


肩より5センチ以上短かったはずが、
今では、肩についていて、なんだかボサボサ。



私はショートが好きだけど、美容室に行くのが面倒くさくて、ねるに切ってもらってたんだっけ。




平手:私って本当にダメだなぁ。



そう呟くと、自分の虚しさに気づき、
心に闇が広がった気がした。




平手:とりあえず、ご飯を食べよう。



私は、家から出て、路地裏に出た。




平手:あ…



ちょうど、目を向けた先に、知らないおっさんと
腕を組んでる ねる が居た。


とっさに、私はその場に足を向けて、
ねるの腕を掴んだ。




平手:おい。


ねる:?!…てっちゃん…



久しぶりに聞いたねるの声。
なんだか安心した。



男:おい!お前なんだよ!!!


平手:あ?


男:ねるちゃんの知り合い?
邪魔してんじゃねぇよ!!!!!!



そう言って、強引にねるの腕を引こうとしてる。


私はムカついてそいつの腹に蹴りを入れた。
そして、ねるの腕を引いて、自分の家まで走った。
 




バタバタ



ガチャンッ



ねる:ハァハァハァ…



このくらいの距離ですごい息が切れてるし、
それに頬も紅潮している。



ねる:…なんで邪魔するの。


平手:は?


バチンッ


ねる:私の仕事どうしてくれるの?!!!



ねるは、私にビンタをして、私の胸ぐらを掴んだ。

こんなねるを初めて見た。


平手:仕事…?どういうこと。


ねる:…お父さんが倒れたの。お母さんの収入だけじゃやってけないし、私が働くしかないの!


平手:だから、知らないおっさんに抱かれんのかよ。


ねる:しょうがないじゃん…



そう言って、ねるは俯いた。

違う、そんな顔させたいんじゃない。
何でいつもそんな顔をするんだよ。




私は、ねるの顔を掴んで、目を合わせた。



平手:わたし、ねるが居なきゃ生きていけないみたいだ。


ねる:…今更、なに。


平手:これからは、何があっても私が守るから。


ねる:っ…



またねるが泣いてしまった。
何で泣くの。?



平手:ねる…泣かないで。


ねる:泣いてない…。グスッ


平手:いや、泣いてんじゃん笑笑。



そう言うと、ねるはグシャグシャな顔で
ニコって笑った。



その姿を見て抱きしめたい感情にかられ、
私はねるを抱きしめた。





平手:さっきの答えは。


ねる:え…?


平手:私に守られるの?それとも、


ねる:…守られたい。


平手:あっそ。




素っ気なく返したけど、内心すごく嬉しかった。



ねるは、私の服をぎゅっと握った。




ねる:…てっちゃん…好き。


平手:…私も。