昔、大きなそれは大きく綺麗な光輝く翼を持った鳥がおりました。
その鳥は逞しいその翼で大空を駆け回り、それはそれは自在に自分の身を何不自由なく操り。
皆、羨望の眼差しを送っておりました。
しかし、
そんな彼にも突然の不幸が襲いかかりました。
自慢の光輝く翼からは一枚、一枚と羽が抜け落ち二度と再び元には戻りません。
もう彼は、自由に大空を駆け回ることは出来ず、飛び立つことさえも叶わず、地面をただ這いずり回る以外は方法がなかったのです。
かつて、彼に憧れ敬っていたものたちは、そんな彼の姿を見るやいなや、彼を嘲笑い除け者にしてしまいました。
彼は傷つきました。
こんな姿になってしまった自分に情けをかけてくれるとばかり思っていたのです。
しかし結果は逆でした。
彼は全てに絶望し、もはや生きる意味さえも見失い。
ただ傷ついた身体を引きずり。
ただ引き裂かれた心を抱え旅立ちました。
ある夜、月の光の眩しい丘の上で彼は疲れ果て、その身を横たえて彼は眠りにつこうとしていました。
まどろみながら、次第に薄れていく意識の中で。
ふと自分の傷ついた翼を何気なく見回してみました。
するとどうでしょう。
全て抜け落ちたとばかり思っていた羽が、たったの一枚だけ残されていたのです。
彼はその日から新たな希望を持ったのです。
いつまでも、いつまでも。
その唯一残された、たった一枚の小さな羽を大切にしたのです。
誰もいない場所でただ静かに息を潜めて。
月の光の眩しい丘の上で。