アヤソフィア、光と影の向こうに。 | 遥かなる地の記憶

アヤソフィア、光と影の向こうに。

リスト教の大聖堂としては、現在でも世界で4番目の大きさという、アヤソフィア。
統治者がキリスト教から、イスラム教に変わっても、
この大聖堂は、最低限の改修に抑えられました。

そんな経緯もあり、大聖堂内はキリスト教らしい、荘厳なつくり。
がっちりした柱に重厚なアーチは、見る者を圧倒します。
でも、そこに描かれるのは、イスラム様式の幾何学模様。

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ヴィザンチン時代は、どんな装飾が施されていたのか、想像をめぐらすだけでも楽しい。



アヤソフィアは、ヴィザンチン美術の傑作とよばれるモザイク画でも有名です。
こちらは、キリストと、当時の皇帝、その妻の像。
緻密かつ繊細な描写。

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リアルにそして、鮮やかに描かれた聖母子像。


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キリスト教徒でなくとも、心洗われる、美しい姿。
何かを語りかけてきそうな、モザイク画の数々。


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キリスト教の世界を描いた壁画は、
洞窟教会(カッパドキア)
クーリエ博物館(イスタンブール)
も見事でしたが、アヤソフィアのものは、迫力が違いました。


でも、そんなモザイク画よりも、印象的だったのは・・・
壁画を見つめる、西欧人観光客たちのまなざし。

アジア系観光客の多くが、カメラに収めると、足早に立ち去るのに対し、
彼らは、しばし、無言でその場に立ち尽くします。
中には涙ぐむ人の姿さえも。


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リスト教からイスラム教への改宗に従い、これら、ヴィザンチン美術の傑作画は、
漆喰で塗り固められ、闇へと葬られました。
文明の交差路は、宗教の交差路でもあったのです。

長い年月を経て、博物館となった今、修復され、日の目を浴びるキリスト像。

信者でなければ抱くことのない、複雑な思いが、
この場に立つと溢れかえるのでしょう。

かつて、この地を覆った光と影。
窓から差し込む光が、それを象徴するかのように辺りを包んでいました。

トルコが、旅人をひきつけてやまないのは、
こんな心の琴線に触れるシーンの数々に
あるのかもしれません。