セマー ,旋舞の儀式。 | 遥かなる地の記憶

セマー ,旋舞の儀式。

ルコ - コンヤ
かつてこの地に、メヴレヴィーとよばれるイスラム神秘主義の教団がありました。
教団の儀式として行われ、後世まで伝承されてきたのが、セマーと呼ばれる回旋舞踊。
独特の衣装を身にまとった踊り子が、くるくると回りつづける舞踊です。



オリエントエクスプレスの終着駅、スルケジの待合室に、黒マントの男女が入ってきました。

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一列に並び、身をかがめ、マントを脱ぎすてる踊り子たち。
左側には、打楽器、管楽器、そしてネイと呼ばれるたて笛からなる演奏団。

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胸の上で、両腕をクロスさせ、じっと一点を見つめる踊り子に、
ちょっとした緊張感に包まれる場内。

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やがて、ほどけて風に舞う糸のように、踊り子が舞い始めました。

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腕をひろげ、かすかに首をかしげ、くるくると回転する独特の踊り。
軽やかで、どこか神秘的な音楽に合わせて、どこまでも回転しつづけます。

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右の手の平が上向をむき、左の手の平が下を向いているのがわかりますでしょうか。

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これは、右手で、神の恵みを授かり、
左手で、人々に分け与えることを表わしているんだそう。

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そして、くるくると旋回するのは、回転する宇宙と一体化するため、神と一体化するためなんだとか。

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音楽に合わせ、ただ回り続ける踊り子たち。
やがて、不思議なリズムを感じ、空間が広がっていくかのような感覚に陥りました。



1923年のトルコ革命は、政教分離を掲げ、メヴレヴィー教団は解散を迫られます。
しかし、宇宙を表現した美しき儀式は、今なお伝承で現代へと受け継がれ、
セマーは、2005年、ユネスコにより、無形遺産として登録されました。


遥かなる地の華麗なる舞。
写真という、一瞬を切り取る作業では表現しきれない世界に、
ちょっとした歯がゆさを感じた夜でもありました。